TOPプロジェクト管理> 開発環境の変化でプログラマは楽になったのか
PHPのすすめ
PHP開発プロジェクトの夢と現実

第1回:今だからこその「PHPのすすめ」

著者:オープンソース・ジャパン  須藤 克彦   2007/5/18
前のページ  1  2  3  次のページ
開発環境の変化でプログラマは楽になったのか

   しかし、です。

   少し落ち着いて考えてみると、顧客の要求を聞き、システムを設計し、それをプログラムし、テストして、そして運用管理をする、という開発プロセスそのものは、あまり変わっていないことに気がつきます。

   道具立てや、コンピュータそのものの性能・機能、使い方も大きく変わりました。さらに便利なツールは生産性を高め、ひいては収益性をも改善しました。システム設計者もプログラマもその恩恵を受けました。

   実際には、性能や生産性が高まった分、顧客からの要求も高くなりました。むしろ生産性の高まりよりも顧客からの要求のレベルアップは著しく、開発者サイドは単純に「楽になった」とはいえない状況があります。

   PHPもプログラミング言語の1つでしかありません。生産性向上や収益性の改善をもたらしてくれることに期待はできますが、それ以上の、つまり本質的なビジネスモデルに変革をもたらしてくれる可能性はあるのでしょうか。

PHP開発とビジネスモデルの変貌

   1つのプログラミング言語が新しいビジネスモデルを生む可能性は、非常に考えにくいことです。しかし、PHPは確かに変革をもたらす可能性を秘めていると筆者は考えています。では、その理由はどのようなものなのでしょうか。


Webシステム全盛

   今やWebシステム全盛の時代です。インターネット上の様々なWebサイトはもちろんのこと、社内システムもWebシステムとして構築することが一般的になりました。このようなシステムはインターネットに対してイントラネットと呼ばれます。

   このWebシステムは一時、Javaが独壇場の時代がありました。その後、PHPの採用比率が高くなっていきますが、それでも従来のシステム開発のプロセスモデルに大きな変化はありませんでした。


ユーザによるシステムの運用・管理

   このプロセスモデルの変革のきっかけとなったのは、CMS(Content Management System)やSNS(Social Network Service)の登場による、Webシステムの運用形態の変化です。

   CMSやSNSの登場以前は、Webサイト上のコンテンツを更新するための作業はシステム開発会社に委託することが一般的でした。それがCMSを使うことで、システムの利用者自身が簡単に行えるようになりました。

   また、SNSは人と人がネット上で情報交換するための基盤を提供しますが、これもシステムさえ構築してしまえば、利用者側がすべてを管理できるようになります。

CMS導入以前と導入後の管理の違い
図3:CMS導入以前と導入後の管理の違い
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   どちらの場合でも最初のシステム導入・構築にはシステム開発会社などの支援を必要としますが、一度システムを構築してしまえばあとは自前で運用することができるわけです。

   一見すると、この変革は開発側の企業にとっては「仕事を失うこと」を意味します。最初のシステム構築は受託できても、その後の運用・管理を受託することはなくなると考えられるからです。

前のページ  1  2  3  次のページ


オープンソース・ジャパン株式会社 須藤 克彦
著者プロフィール
オープンソース・ジャパン株式会社  須藤 克彦
青森オフィス 代表
1980年立命館大学理工学部を卒業後、独立系ソフトハウスに入社。CやFORTRANコンパイラなどの言語処理系の設計・開発に約10年間従事。その後ユーザ系企業でUNIXによるクラサバの設計・開発を主導。同時に企業の内外で人材育成に注力する。現在はオープンソースソフトウェアの普及と教育のため青森でOSSに関する教育事業を企画する傍ら、神戸情報大学院大学で講師として教鞭をとる。「ソフトウェア科学の基礎を勉強してオールラウンド・プレーヤーを目指せ」が技術者育成についての口癖。


INDEX
第1回:今だからこその「PHPのすすめ」
  オープンソースとLAMPの存在がプログラム環境を変える
開発環境の変化でプログラマは楽になったのか
  開発形態の変貌〜オープンソースソフトウェアの登場〜