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オープンソースソフトウェアの性能・信頼性評価手法
第5回:DBT-1によるMaxDBの評価
著者:
住商情報システム 福井 浩次
2005/6/13
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使用プロダクト
今回の評価に使用したのは、「DBT-1」および「MaxDB」である。
DBT-1はTPC-Wの仕様を一部取り込んだベンチマークツールで、Web3層構造のうちクライアントおよびアプリケーションサーバを提供する。
DBT-1のインタラクション(トランザクション)は14種の規格中12種類が実装されている。インタラクションの分布は規格通り実装されているが、TPC-Wを実装していない規格も多く、OSDLではDBT-1の結果をTPC-Wの結果として言い換えないよう、注意を促している。
OSDL Database Test 1(DBT-1)
http://www.osdl.org/lab_activities/kernel_testing/osdl_database_test_suite/osdl_dbt-1/
MaxDBは独SAP AG社がERP用RDBMSとして利用していたAdabas Dを、2000年よりSAP DBの名称でオープンソースとして公開していたもの。現在は、MySQL AB社とクロスライセンシングを行い、MySQL AB社よりMaxDBの名称で公開されている。
MySQLのWebサイト
http://www.mysql.com/
OSDL DBT-1の構造
ここでは、使用したツールDBT-1がどのようなものであるかについて述べる。
図1:DBT-1のプロセス構成
図1に示すように、クライアントに相当するdbdriverとアプリケーションサーバに相当するappServerで構成される。その他にキャッシュ機能を持つappCacheもあるが、今回はDBの性能評価に焦点を当てたため、使用しないよう設定した。
仮想ユーザは、dbdriver内のスレッドで実装され、指定した時間内で14のインタラクションを繰り返す。また、起動シェルでは各プログラムをリモートで起動するようになっており、より本番に近い環境での評価を可能とする。
測定の開始は、全ユーザが接続している間を対象とし、評価結果は毎秒のトランザクション数(BT/秒)と各処理の平均時間が得られるほか、システムリソース情報(sar)およびDBの状況も収集する(表1)。
情報種別
コマンド
出力ファイル名
備考
BT/秒
results
BT
DBT-1コマンド
システム統計
sar -A
run.sar.data
10秒間隔
I/O情報
iostat -d
io.txt
10秒間隔
プロセス一覧
top d 120 b
top.txt
120秒間隔
DBロックチェック
select * from DBA_LOCKS
lockstats*.out
*:取得回数
DBキャッシュ
select * from monitor_caches
m_cache*.out
*:取得回数
DB負荷
select * from monitor_load
m_load*.out
*:取得回数
DBロック
select * from monitor_lock
m_lock*.out
*:取得回数
DBログ
select * from monitor_log
m_log*.out
*:取得回数
DBページ
select * from monitor_pages
m_pages*.out
*:取得回数
DBカラム
select * from monitor_row
m_row*.out
*:取得回数
DBトランザクション
select * from monitor_trans
m_trans*.out
*:取得回数
DBデータ情報
info data
datadev0.txt
MaxDBコマンド
DBログ情報
info log
logdev0.txt
MaxDBコマンド
DBステータス一覧
x_cons show all
x_cons*.out
*:取得回数
表1:DBT-1(MaxDB)ログ情報一覧
仮想ユーザの状態設定には、4つのパラメータがある(表2)。
パラメータ
説明
EU
仮想ユーザ数
RampupRate
1分あたりの接続ユーザ数
Duration
1仮想ユーザの処理持続時間
ThinkTime
1仮想ユーザの処理間隔
表2:主要パラメータ
評価は、EUの値を大きくするにつれてログ情報の内容がどのように変化するかを解析し、DBパラメータの適正値を求めた。
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著者プロフィール
住商情報システム株式会社 福井 浩次
平成4年中途採用にて入社。その昔VAX11-780にてはじめてBSDに触れて以来、UNIX系OSのサポートや、ニッチなアプリケーション開発を業務の中心とするが、時々デバイスドライバを作っていた時代を懐かしく思い出す事がある。現在は生産技術センターに所属し、OSSの評価、社内への啓蒙に取り組んでいる。
INDEX
第5回:DBT-1によるMaxDBの評価
はじめに
使用プロダクト
評価手順の概要
測定に至るまでに発生したトラブル