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今注目のSaaSを知る

2007/10/2
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今知っておきたいSaaSの基礎

   大手ソフトウェアベンダーがこぞってSaaS(Software as a Service)によるソフトウェアの提供を開始し、国内初のSaaS専門イベント「SaaS World Conference & Demo 2007」が開催されるなど、SaaSに対する注目の度合いは依然高いままだ。

   ここではSaaSをより深く知るために、これまでThink ITに掲載されたSaaSに関連する記事を集めて紹介する。

SaaSを知るための参考資料
SaaSを導入する前に
Web 2.0を支えるSaaS
トレンドワード「SaaS」を知る
企業のSaaS戦略を探る


SaaSを導入する前に

   何かと話題のSaaSだが、従来のライセンス型のソフトウェアと比較して、本当にメリットがあるのかどうかお悩みのユーザも多いだろう。「SaaSとはどういうサービスなのか」について、TOC(Total Cost of Ownership)削減という側面から解説したのがこの連載だ。SaaS導入前にぜひご一読いただきたい。

胎動するSaaS〜導入にあたってのチェックポイント〜 胎動するSaaS〜導入にあたってのチェックポイント〜
第1回:SaaSの本質を見極める
著者:野村総合研究所  城田 真琴

改めて問う「SaaSとは何か?」

   2006年のIT業界におけるバズワード(はやり言葉)の1つに「SaaS(Software as a Service)」がある。同じく2006年、IT業界を超えて大きな話題となった「Web 2.0」の一要素としてSaaSは考えられ、2007年も引き続き注目すべきキーワードであるといえるだろう。本連載では、SaaSの定義からはじめ、SaaS導入の際の留意事項や進化を続けるSaaSの今後について、数回にわたり解説していく。

   SaaSとは一言でいえば、ソフトウェアの開発ベンダーがソフトウェアの機能をインターネットを通じ、サービスとして提供するソフトウェアのデリバリモデルである。従来のソフトウェアとは異なり、ユーザはライセンスを買い取る必要がなく、利用料金を期間(毎月、半年など)に応じて支払うことになる。ユーザが支払う利用料金には、保守費用や運用管理費用、バージョンアップ費用が含まれており、こうした作業は基本的にすべてSaaSベンダーが実施する。

SaaS=ASP 2.0

   このようにSaaSを説明していくと、恐らく「ASPとSaaSは同じものではないのか」という基本的かつ本質的な疑問が浮かび上がることだろう。ASPは1990年代後半から2000年頃にかけて一時期脚光を浴びたものの、その後普及というほどのレベルには達せず今日に至っている。

   筆者は上記の疑問に対しては、「アプリケーションとその運用管理をアウトソースするという点で、ASPとSaaSに本質的な違いはない。しかし、ASP時代から大幅に進化し、ビジネスとして成功する要素を多く秘めているため、SaaSはASP 2.0と呼ぶべきもの」と答えるようにしている。では、なぜASP 2.0と呼ぶべきなのか。SaaSが従来のASPと異なる点を以下にまとめる。

胎動するSaaS〜導入にあたってのチェックポイント〜 胎動するSaaS〜導入にあたってのチェックポイント〜
第2回:徹底比較!! TCOからみたSaaSモデルvsライセンスモデル
著者:野村総合研究所  城田 真琴

SaaSの推進要因

   現在SaaSが注目を集めている要因の1つであるTCO(Total Cost of Ownership)の削減効果についてライセンスモデルと比較検討し、さらにSaaSを導入する上での留意点をまとめる。まず、SaaSがなぜこれほど注目されているのかを考えてみたい。ここでは、SaaSの推進要因を外部環境の変化、ユーザのメリット、ベンダーのメリットという3つの側面から分析する(図1)。

SaaSの推進要因
図1:SaaSの推進要因
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

TCOの比較:SaaSモデルか、ライセンスモデルか?

   ここからはユーザのメリットとしてあげた「コスト削減」について、イニシャルコストだけなく、TCOの観点からもう少し詳しく見ていく。

   一般的に、SaaSの形式で提供されるソフトウェアと常に比較されるのが、ライセンス型のソフトウェアである。両者には一長一短があるため、導入にあたっては様々な側面から両者を比較検討する必要があるが、ここではまずTCOの観点から比較してみる。

胎動するSaaS〜導入にあたってのチェックポイント〜 胎動するSaaS〜導入にあたってのチェックポイント〜
第3回:進化を続けるSaaS
著者:野村総合研究所  城田 真琴

アプリケーションの提供からプラットフォームの提供へ

   SaaSが昨年来、注目を集めている理由はいくつかあるが、中でも従来のASPでは不可能だったことが可能になった点が大きい。

  • ユーザ側で動的にカスタマイズが可能
  • 既存アプリケーションとの連携が容易

表1:SaaSの特徴

   上記はSaaSベンダーが提供するプラットフォームを利用することによって可能となる。具体的な例をあげると、Salesforce.comの「AppExchange」、NetSuiteの「SuiteFlex」などである。

SaaSプラットフォームの課題とは

   斬新な取り組みとして、非常に注目を集めているSaaSベンダーのプラットフォームであるが、現状では課題もある。それは、いかに各コミュニティを活性化するかということである。

   AppExchange、SuiteSourceの各Webサイトを見ればわかるが、プラットフォーム上で構築されたアプリケーションはそこそこ集まってはいる。例えば、AppExchangeのWebサイト(日本)には60余りのアプリケーションが登録されている(2006年12月末現在)。しかし実際のユーザからのフィードバックである「評価」や「レビュー」については、書き込みが少なく、やや寂しい状況である。

Web 2.0を支えるSaaS

   新しいWebの利用法や技術を総称する「Web 2.0」。そのWeb 2.0を支える手法の1つがSaaSである。ここでは、Web 2.0以前の手法であるASPとSaaSの違いについて解説した記事を紹介する。

ビジネス展開におけるWeb 2.0 ビジネス展開におけるWeb 2.0
第3回:Web 2.0時代を支える手法
著者:野村総合研究所  堀 祐介

はじめに

   第1回では大量の情報と消費者のアテンションをコントロールする重要性を説明し、第2回目ではWeb 2.0が与える市場へのインパクトを特に「eコマースモデル」と「企業情報システム」に着眼して分析した。今回から2回にわたり、Web 2.0時代を支える手法・技術がどのような目的で採用され、活用されているかについて事例を通じて紹介する。

サービス型ソフトウェアとASP

   現在、サービス型ソフトウェアはSaaS(Software as a Service)またはオンデマンドソフトウェアとも呼ばれ、1990年代後半に誕生したASPの延長にある手法である。サービス型ソフトウェアと従来のASPを比較すると、サービスプロバイダがアプリケーションをホスティングし、利用者がWebブラウザを経由してアクセスするという点では同一であるが、次にあげる2点が違う。

  • サービス対象ドメイン
  • ソフトウェアモジュール間の結合度

表3:サービス型ソフトウェアとASPの相違点

   従来のASPはCRMやSCMといった企業向け業務アプリケーションが中心で、消費者向けASPはWebメールサービス(例:Hotmail)など一部に限られていた。Web 2.0時代のサービス型ソフトウェアは消費者向けのサービスが急速に増加している点が特徴になる。消費者向けサービスが増加している理由は、前述のとおり利用者(消費者)の情報を収集することと広告料モデルの親和性が高いためである。

   従来のASPはパッケージ型ソフトウェアをオンライン版に置き換えたものが多く、アプリケーション間の連携が弱く、機能やUIのカスタマイズ性が乏しいといった点が弱点とされていた。またソフトウェアの機能をモジュール化し、ネットワーク経由で連携できる手段としてWebサービスが提唱されたが、接続手続きの煩雑さといった理由から広く普及するまでには至っていない。サービス型ソフトウェアではGoogle、Yahoo!、Amazon、eBay、はてななどがWebサービスAPIを公開し、これらがRESTによる軽量でゆるやかな結合手段を提供にしたことから、消費者側から沸き起こる形で数々のマッシュアップサイトが誕生した。従来のASPやパッケージ型ソフトと比べ、ソフトウェアモジュール間の結合度が低い点がWeb 2.0時代におけるサービス型ソフトウェアの特徴である。

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