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改めて知りたいSaaSビジネス
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第1回:正直、SaaSビジネスは儲かるか?

著者:野村総合研究所  城田 真琴   2007/10/17
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SaaSとは

   2006年から、雑誌やIT系Webサイトなどのメディアで取り上げられる機会が多くなっている言葉に「SaaS」がある。しかし、何となく言葉を目にしたり、聞いたりしたことはあるものの、詳しくは知らないという読者の方も多いだろう。本連載ではSaaSビジネスについて改めて学び、今後のSaaSビジネスの動向をみていく。

改めてSaaSとは何か?

   「SaaS」という言葉は、「Software as a Service」のアルファベットの頭文字をとったもので、日本語では「サービスとしてのソフトウェア」と訳される。

   「サービスとしての」とただし書きがついているのは、これまでのソフトウェアと異なり、ユーザはCD-ROMやDVDのように形あるものを購入したり、あるいはサーバからダウンロードして「所有」したりするわけでなく、あくまで「サービス」として目に見えないソフトウェアの機能を「利用」するという点を強調したものである。

   SaaSの「サービス」は、インターネットを通じてユーザに提供される。ユーザは特別なクライアントソフトをインストールする必要はなく、Webブラウザからサービスにアクセスして利用することになるのだ。

   SaaSは従来のソフトウェア、すなわちライセンス販売という形態でソフトウェアベンダーからユーザに提供されるパッケージソフトウェアとしばしば比較される(表1)。

  SaaS パッケージソフトウエア
課金方法 サブスクリプション ライセンス
初期コスト ○(ハードウェアが不要)
導入の迅速性 △/×
利用の柔軟性 ○(ユーザ数の増減にすぐに対応可)
ソフトウェアの稼動場所 ベンダー側設備 自社内設備
運用管理 ベンダーに一任 自社ですべて管理
カスタマイズ性

表1:SaaSとパッケージ・ソフトウェアの比較(相対評価)

   SaaSの場合、ユーザはソフトウェアライセンスを購入する必要がないが、代わりにサービスの利用料金として、「期間(毎月、半年など)×ユーザ数」に応じた金額をSaaSベンダーに支払う(サブスクリプション型)。この利用料金には、保守費用や運用管理費用、ソフトウェアのバージョンアップ費用が含まれており、こうした作業はすべてSaaSベンダーが実施してくれる。

   SaaSの大きな魅力の1つは、利用申し込みをするだけで、すぐに使える利便性である。従来のソフトウェアのようにライセンスを購入し、社内に設置したサーバ、あるいはPCにソフトウェアをインストールする必要はない。

   ソフトウェア機能を「利用」するため、「目的に即さなくなった」あるいは「使ってはみたが使いにくいので、もう使うのをやめたい」といった場合には、すぐに利用を中止できるのも魅力の1つである。

   また、「明日から利用者が100人増える」といった急なケースでも、ベンダーに申し込みをするだけですぐに使えるようになるのも特徴だ。

   ソフトウェアを「所有」するライセンス型のソフトウェアの場合ではこうはいかない。高価なソフトウェアであればあるほど、たとえ「使いづらい」と思っても、一定の期間を経過するまでは、使い続けなければならないのが普通である。利用者数が増加する場合には、サーバを追加購入するなどしなければならないため、非常に手間がかかってしまう。

   一方、費用がかかっても、ユーザ企業の思いのままにカスタマイズを行いたいという場合や、セキュリティや可用性などをすべて自社でコントロールしたい場合は、従来のソフトウェアの方が融通は利く。

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株式会社野村総合研究所 城田 真琴
著者プロフィール
株式会社野村総合研究所  主任研究員  城田 真琴

IT動向のリサーチと分析を行うITアナリスト。大手メーカーのシステムコンサルティング部門を経て2001年、野村総合研究所に入社。専門は、SaaSの他、SOA、BI、オープンソースなど。最近は、Web2.0の技術的側面からのリサーチを推進。最新著書「SaaSで激変するソフトウェア・ビジネス 〜ソフトウェア業界を揺るがす破壊的イノベーション〜」(毎日コミュニケーションズ)が10月末発売予定。


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