
マイクロソフト株式会社 松崎 剛
デペロッパー&プラットフォーム統括本部 IT技術者アドバンス テクノロジー本部 デベロッパー エバンジェリズム グループ デベロッパーエバンジェリスト
1969年生まれ。慶応義塾大学院数理科学専攻修士(博士前期)課程修了。1994年より、情報システム系技術者としてのシステム構築をはじめ、コンポーネント技術によるソフトウェアプロダクト開発、情報システムの技術系コンサルティング(アドバイザー)など、いくつかの会社で情報システム開発に関与する様々な業務を行い、2005年11月マイクロソフト株式会社に入社。現在に至る。

今回の講師はマイクロソフトの松崎 剛氏

普段はJavaに触れる機会が多いため、.NETの技術的内容は興味深い

実際にデモンストレーションを行いながら解説する松崎氏
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.NETを振り返る
最近では.NETを使ったシステムが増えてきているが、その登場は2000年代前半であると松崎氏はいう。これは歴史からみるとJavaやXMLとさほど変わらない。
.NETもJavaなどと同様にマルチプラットフォームでの動作を前提しているが、一般的にはWindows Serverでしか動いていないというイメージがあるようだ。これに対し松崎氏は「.NETはモバイル機器、例えば携帯電話などに採用され、様々なところで動作している」と本当の意味でのマルチプラットフォームを実現していることをあげた。
また一例として、ブラウザに.NETのエンジンを組み込み、適用領域を広げていけるといった応用例なども考えられるという。なお次期OSのWindows Vistaでは.NETで動いている割り合いが多くなっていることもあげた。
.NETはどこが優れているのか?
さて、.NETは何が優れているのだろうか。今までのVBなどと何が違うのだろうか。.NETは新しい言語として登場したのだが、曰く、過去の言語に存在した不都合な点を解消し、新しく開発基盤としたものだ。もちろん様々な新しい技術も加えられて、動作環境を提供するシステム基盤として強力なものになっている。
では「言語に存在した不都合な点」とは何だろうか。よくいわれるのは開発環境では動作したが、本番環境で動作しないという点だ。他にもモジュール不整合やレジスト情報を使うため設定が煩雑になるといったことがあげられる。
無論、これらは言語だけの問題ではないのだが、よく問題になりやすい。.NETではこれら問題を気にせずともよいようになったという。もちろん無理に作りこめば同じような問題は発生するのだが、基本的にはそのようなことがなくなるとのことだ。
「.NETの方向性は開発者がそのロジックを作りこむことに集中できるということ」これこそが.NETの最大の特徴であると松崎氏はいう。
このことはJavaなどと相反するものがある。Javaに代表されるような言語は作りこみが重視される。これは、どちらが優れているということを示しているわけではなく、適したものを選ぶ必要があることを松崎氏は訴えた。
.NETの仕組み
ご存知の通り、.NETは実行環境である.NET Framework上で動作することになる。松崎氏は.NET Frameworkの中でも重要な動きをするのは「CLI」と「IL」であるという。これを知っていれば、.NETを知っているといっても過言ではないらしい。
CLIとはプログラミング言語に依存しない中間言語を実行する実行環境であり、異なる言語で記述されたDLLを他の言語でも使用できる、高度なバージョン管理が可能、既存環境との相互運用などを可能にする。松崎氏はこの動きを簡単なサンプルをもちいて説明してくれた。また、一方のILとはこの中間言語のCLIが理解できるための中間コードになる。
.NETをさわってみませんか?
このオープンカレッジで、松崎氏は.NETの良さのみではなく、その使い方や適用場所、さらには歴史についてまで、わかりやすく楽しく語っていただいた。また「.NETが面白いから、.NETに携わっている」といい、その面白さがよく伝わってきた。
今後のオープンカレッジ
今後はシンクイット社外のエンジニアの方も参加できるようにしていきますので、ぜひご参加ください。参加者の募集はシンクイットのページで告知いたしますので、お見逃しなく。
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