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バックアップ・ソリューションの選択基準
第10回:今後のバックアップに対する期待と現実
著者:
バックボーン・ソフトウエア 青木 浩朗
2005/5/20
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バックアップに関する今後の課題
今まで9回に渡って様々なバックアップ手法について考えてきました。データが存在するところには、常にバックアップがあるため目的も手段も様々です。第1回でストレージソフトウェアの中でもバックアップ・ソフトウェアの割合が最も高いとお話しましたが、その反面ストレージのリソース管理などと比較すると、今後その割合が増えることはないでしょう。
また、機能面でみても頭打ちであることがいえます。しかし、これはあくまで商用ソフトの場合であり、オープンソースに関しては別です。なぜなら、オープンソースのバックアップ手法は旧態依然としたコマンドによるバックアップ方法が主流であり、基幹システムで使えるようなものは見当たらないからです。
統一した仕様が求められる
オープンソースのバックアップ手法が未だにコマンドによるものであるのには、いくつかの理由があります。まず最も大きな理由としては、ライブラリを制御する仕様が統一されていないということがあげられます。
一般的なライブラリ装置の機能は表1のように分けられます。テープドライブ・デバイスの場合はデバイスドライバを使用して、OS標準のデバイスとして認識することができるので問題はあまりありません。
テープドライブ・デバイス
ライブラリ・デバイス
テープ・スロット
メール・スロット
ドア
表1:テープライブラリ装置の機能
しかし、ライブラリ・デバイスとよばれる複数巻のメディアをアームによって交換するものは、それぞれの装置によってスロット数、使用中の交換を可能にするメールスロットの有無、ドア制御のコマンドなどが異なります。バックアップ・ソフトウェアのベンダーはハードウェアベンダーのパートナーとなり、相互に連絡を取りあって動作検証の実施や問題の解決をおこなっています。オープンソースでは大規模なハードウェアが必要となった場合、このような対応を取ることが難しいと思われます。
業界を超えた交流の活発化
ライブラリ装置のベンダーがライブラリ・デバイスの制御について、なんらかの統一した仕様を作成することがあれば、様々な問題が改善される可能性があります。しかし、仮に仕様が統一されたとしても、検証に必要な機材の調達が難しいということには変わりありません。
一般的にオープンソースのソフトウェアの開発の場合は、大手ハードウェアベンダーやソフトウェアベンダーが、開発者やコミュニティーに対して支援をおこなうことがあります。その手助けとなる業界団体の代表例としてOSDLなどがありますが、テープ装置のハードウェア・ベンダーが加盟しているという話は耳にしません。
ストレージ関連のベンダーは異なる業界団体、つまりストレージを主とした業界団体に加盟しています。時には業界団体の垣根を越えた交流をおこない、オープンソースの開発者や団体に対して協力することで、エンタープライズ分野のソフトウェア開発の活性化になると思います。
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著者プロフィール
バックボーン・ソフトウエア株式会社 青木 浩朗
ストレージ専業ベンダーにて、SEおよび企画を担当した後に、2001年にBakBoneSoftware入社。主に大手ベンダーのSEを担当しながら、テクニカル・マーケティングとして、各種講演や執筆活動を行っている。最近は、特にデータベースとクラスタリングに注力し、検証レポートを作成するのをライフワークとしている。
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