KDDI、NECとRed Hatが取り組んだ大規模システム向け実証実験
2017年5月8日から11日までボストンにて開催されたOpenStack Summitで、NEC、KDDI、Red Hatは共同で行った実証実験を解説するセッションを行った。これは、複数のサーバーで構成されたクラスターから一部のサーバーをアップグレードしたり、パッチの適応を行ったりという運用管理を自動化するための検証環境で、サーバーをハードウェアプールの一部として扱うことで、起動/停止、アップグレードなどを自動化するという。
このセッションには、Red Hatからは2014年にRed Hatが買収したeNovanceのコンサルタントが、NECからはOpenStackとキャリアグレードのネットワークオペレーションに精通したエンジニアが参加した。この実証実験によって、「サーバーの更新作業などを自動化することの目処がついた」というのが結論だ。ここでも大規模になればなるほど、ソフトウェアだけではなくサーバーの運用管理の自動化が必要ということが分かる。まだ実用に向けて、ハードルはいくつもあるだろうが、着実に知見は増えているということだろう。
もう一つの発表は、テレコムオペレーターが利用する分散されたサーバー環境においてCPUの利用率、ネットワークトラフィックのピークなどを瞬時に検知するために、非常に短いインターバルでモニタリングを実施する際のミドルウェア、監視ツールなどの検証結果の公開だった。これは数分間隔のモニタリングではなく、1秒以下のインターバルで数百、数千のモニタリングポイントからのデータを処理したいというニーズに対して、中央集権的に行うのではなく各コンピュートノード上にモニタリングエージェントを分散配置して、モニタリングポイントの増加と短いインターバルに対応しようという分散型のアプローチだ。
これらの実証実験は、単に導入事例を紹介したというレベルを超え、大規模システム構成における運用や監視の問題に正面から立ち向かった例としたもので、聴講者も多く、OpenStackの運用サイドからは興味深いものだったように思える。
なおセッションの模様は、以下のリンクから動画として視聴することも可能だ。
Distributed Monitoring and Analysis for Telecom Requirements
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