PR

「OpenStack Summit May 2015 Vancouver」レポート #6(Breakout Session、OPNFV)

2015年5月31日(日)
吉山 晃鳥居 隆史壬生 亮太

今回は、OpenStack Summitで行われたBreakout Sessionの中から、いくつかピックアップして最新情報をお伝えします。ちなみに、全てのBreakout Sessionは動画ですべて公開されているので、そちらも参照してください(https://www.openstack.org/summit/vancouver-2015/summit-videos/)。

また、今回注目を集めた「OPNFV(Open Platform for NFV)」というOSSコミュニティのトラックについてもレポートします。

Demystifying Logs in OpenStack Clouds

OpenStackでは様々なコンポーネントから大量のログが出力されるため、障害発生前後のログ追跡が困難です。これに対してCiscoでは、同時刻に発生する各種のエラーは同一原因であるケースが多いこと、障害発生時には通常時よりも多くのメッセージが出力されることに着目し、BigDataの分析手法を使ってOpenStack基盤のログ解析を効率化しています。

ログをどのように扱って運用にフィードバックしていくかは重要な技術であり、動向に注目です。

Cisco社のログ統計可視化システム
ログ解析手順。①ログ収集 ②ログ分類 ③ログ統計 ④ログ相関検出

Service Oriented Deployments at Scale in an OpenStack Public Cloud

Rackspaceは2012年にOpenStackのIaaS基盤を導入して以来、IaaS基盤のアップグレード(バージョンアップ)という問題に悩まされてきました。

同社では現在、Jenkins、Ansible、Githubを活用して、サービス無停止のIaaS基盤の自動アップグレードシステムを運用しています。OpenStackを知り尽くしたRackspaceのやり方という意味で非常に興味深い取り組みです。

RackspaceのOpenStack導入年表
IaaS基盤自動アップグレードの流れ。生成物を全てGitHubにプッシュしているのが興味深い。

CloudKitty an Open Source rating and chargeback component for OpenStack

「Ceilometer」はユーザのリソース利用を定期的に記録し集計するメータリング機能を提供しますが、OpenStackにはこの情報を元に課金機能を提供するコンポーネントがありません(過去に提案された実装はあったが不採用)。

こうした中、Objectif Libre(フランスのOpenStack企業)が「CloudKitty」を公開しました。CloudKittyはKeystoneのテナント情報とCeilometerの統計情報を元に、ユーザやクラウド管理者に課金機能を提供します。既に複数の商用サービスでの実績があり、2015年中の公式プロジェクト化に向けて開発・提案活動を進めているそうです。

「OpenStackだけではクラウドサービスはできない」とよく言われますが、足りないパーツがオープンソースでそろってくるという流れがあり、CloudKittyもその一つです。

CloudKittyの内部構成

OpenStack基盤のバージョンアップ

1年程前から多くの企業がOpenStackを採用し始め、各社でOpenStackの新バージョン対応に取り組んでいます。今回のOpenStack Summitでは、Symantec、Time Warner Cable、RedHatがOpenStackのバージョンアップ事例を紹介しました。それぞれが異なるアプローチを採っており、比較してみるのも面白いと思います。

Symantec

新バージョンのOpenStackをインストールした制御サーバを別に用意し、旧制御サーバと切り替えるという手法を紹介していました。

Time Warner Cable

既存のOpenStack制御サーバ(3台構成)を順次バージョンアップするという手法を紹介していました。今後はPythonの擬似仮想環境(VirtualEnv)を使ったアップグレードを検討しているとのこと。

RedHat(旧eNovanceメンバー)

OSのソフトウェアパッケージ管理(apt、yum)によるOpenStackのバージョンアップでは1サーバあたり最大20分程度がかかりますが、OpenStackがインストールされたファイルシステムイメージを転送する場合は1サーバあたり20秒以下で済むということでした。

また、RedHatではソフトウェアバージョンアップ後のOpenStack全体の設定変更をAnsibleで行っています。

OPNFV(Open Platform for NFV)

昨年春のOpenStack Summit(アトランタ)でAT&TがキーノートでNFV(Network Function Virtualization)を紹介して以降、NFVの話題が増えてきています。

今回もNFVに触れるセッションは数多くありましたが、中でも注目すべきは「OPNFV(Open Platform for NFV)」というOSSコミュニティのトラックが設けられたことです。このトラックでは計6セッションに渡ってOPNFVの活動が紹介されました。

OPNFVのセッション会場はいずれも満員

OPNFVは50社以上が参加するコミュニティで、NFVのプラットフォームの実現を目指すオープンソースプロジェクトです(www.opnfv.org)。NFVでの利用を目的にOpenStackやOpenDaylightなどを組み合わせて開発・検証を行うのがミッションです。"Upstream First"という考えに基づき、必要な開発はUpstreamとなるOpenStackやOpenDaylightで先行して行うと強調していました。つまり、OPNFV独自のブランチやフォークは作らないということです。「OPNFVが独自にOpenStackを拡張していくのでは?」という懸念を払拭し、コミュニティの協力を得たいということでしょう。

さらに、アメリカ・ヨーロッパ・中国にある11のテスト環境が紹介されました。OPNFVで開発したプラットフォームは複数の環境で試験することになっており、特定のハードウェアに依存しないとのことです。このように、コミュニティと連携しながら、ベンダーニュートラルに進めていくというスタンスが説明され、おおむね好意的に受け入れられたようです。

具体的な取り組みとしては、HA、ポリシー、障害管理、資源予約などの6つのプロジェクトがセッションを行いました。障害管理のプロジェクト(Doctor)はNECのメンバーがPTL(Project Team Lead)を務めて頑張っています。OPNFVで実現しようとしている機能は、NFVだけにとどまらず、エンタープライズやクラウドサービスでも有用なものが多くあります。これからの動向に注目です。

NEC OSS推進センター
NEC OSS推進センター所属。OpenStackには初期から関わり、技術検証などに従事。日本OpenStackユーザー会で勉強会を企画するなど、コミュニティ活動にも積極的に関与。その功績から2013年にOpenStack Foundationが認定するOpenStack Ambassadorとしてグローバルに活動中。
NEC OSS推進センター
NEC OSS推進センター所属。OpenStackが公開された当初から、ネットワークに関係する部分の開発や検証を行ってきている。日本OpenStackユーザー会のボードメンバーとしてイベントや発表多数。さらに沖縄オープンラボのメンバーとしてOpenStackとSDNの融合分野における先端技術の開発・検証を主導。
NEC キャリアサービス事業部

NEC キャリアサービス事業部所属。OpenStackに関する研究活動(特にベアメタル)を行った後、現在はOPNFVのFTE(Full Time Engineer)となり、DoctorプロジェクトのPTL(Project Team Lead)として活躍中。

連載バックナンバー

Think IT会員サービス無料登録受付中

Think ITでは、より付加価値の高いコンテンツを会員サービスとして提供しています。会員登録を済ませてThink ITのWebサイトにログインすることでさまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think IT会員サービスの概要とメリットをチェック

他にもこの記事が読まれています