ニューヨーク、LA、バルセロナ… 世界の先進都市が重視する「情報公開責任」とは?
スマートシティ革命について言うと、ほとんどのユースケースが一般的な住民にとってエキサイティングなものであるかどうかは疑問が残るところである。スマートなゴミ箱や信号機、パーキングメーターなどは、とりあえず行政からは賞賛されるであろう。これまでのシステムがどんどん通信し始めるようになれば、これらの物はより意味をなすようになり、住民の満足へとつながって行く。
アナリティクス及びコンサルティング企業 Teradataで、観光業界のソリューションやマーケティングのディレクターを務めるPeeter Kivestu氏に話を聞いた。Kivestu氏はこれまではモノが通信することに焦点がおかれていたが、やり取りされるデータ自体についてはそうでも無かったと考えている。「データは使われることでその価値を増します。それが整理統合され、特定の目的に用いられるようになれば尚更です。」
データ同士のコネクティビティを確立することで、都市がプラットフォーム型のビジネスモデルを取り入れるチャンスがあると彼は考えている。スマートデータエクスチェンジと彼が呼ぶそれは、都市が住民に価値を届け、それを社会に還元できる新しいたぐいの資産である。
スマートシティのデータの多くは、互いに連携できないものだ。
Kivestu氏は次のように言う。
「全てのシステムが機能し、住民すべてがその恩恵にあずかってこそ、その都市は機能していると言えます。システムが分断されている状況では都市が機能しているとは言えず、住民に価値を届けることができません。高速道路やエネルギー供給システムなど物理的には確かに繋がっており、きちんと共存できているのですが、デジタル的にどうかと言うと全く整っていません」
Kivestu氏は地元のフットボールの試合観戦に行く場合を例に挙げる。その時の交通事情については察しがつくだろうと言うものだ。
「試合を見に行くために飛行場に行き、車を停めて飛行機に乗り換えるとします。普通に考えられることですね。乗り換え便がいつ出発するかなどはデジタルで確認できることです。しかし駐車場の混み具合については知りようがありません。飛行場に到着した段階で駐車場がいっぱいで車は駐車できず、飛行場まで来ているのに、便に乗り遅れて試合を見逃すことになるかもしれません」
データの共有に関する技術はこう言った分野で伸びようとしている。Just Parkというアプリを例に挙げると、駐車場だけでなく目的であるスタジアムの席も販売している。入場者数やその位置などをリアルタイムで把握でき、非常時や迷子が出た時などの対応の際も、スマートスタジアムは運営側にとって役立つものだろう。緊急避難時でも、周りの天候や交通状況などの情報分析を連携することで観客は安全に家まで最短距離で帰ることができるようになる。
商用と公共のインフラを繋ぐ
しかしながらこう言ったことがスマートスタジアムのような商用施設以外の場所で実現するためには、データが街と商用施設の間で結びつく必要がある。Kivestu氏はこのように説明する。
「データはあってもそれが特定のもののために作られたものであるが故にほかのことに使えないということは多くあります。たとえば高速道路の安全を指し示すものに速度制限があります。もし前方が詰まっている場合、それに応じた速度制限表示を行うことでドライバーに前方が混雑していることを指し示すことができます。」
しかしながらこうしたシステムが2つあるとすると、それぞれのデータは全く異なるものであり、「この速度制限はまともに機能しているのか」と聞かれてもそれに答えることは容易ではない。では双方のデータを一緒に使える様にするとなると、それぞれのデータが異なるものを目安に算出されていたりするため、直接比較することが難しかったりもする。
都市が抱える問題のニーズを満たすオープンなデータこそが良いデータである
共有データレポジトリの概念において欠かせないのがアクセス可能なオープンデータであり、このコンセプトはLAやバルセロナ、ニューヨークなど多くの都市で受け入れられている。多くの都市が企業や大学、住民にデータを公開することは、その都市の生きた知見を得るうえで役立っている。アプリを作る場合にデータシステムから作っていては時間がかかりすぎる。
結局のところ、どのようなデータがそれぞれの都市にとっての根本をなすかを特定する必要が求められるようになるとKivestu氏は考えている。
「例えば継続可能性について言えばCO2削減のための電気自動車充電スタンドをどのように配置し、どこに何を建てるかといったことを決めなければなりません。電気自動車が伸びてきていると言うことは、車と電力網のデータが結び付くことが意味をなすということでもあります。開発者たちに適切なことをやってもらうためにも、適切なデータを提供するべきでしょう。スマートシティは特に高齢化が進む都市の生活を改善するものであり、この問題はなくなるものではありません」
CATE LAWRENCE
[原文4]
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