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スマートシティ開発で思う6つのこと(2)

2017年7月12日(水)
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アイデア #4: スマートシティソリューションは市民中心でなければならない

昨年開催された一連のスマートシティイベントを振り返ると、その多くが十分な資金のあるビジネスパーソンか学者のみが参加可能なものであったことに気づいた。スマートシティ開発に関わる者のみが招待され、9時から5時まで働くような市民にとってはほとんど参加不可能だったのだ。スマートシティプロジェクトはそこに住む人たち、その街が抱える問題に対してのものであるという点は重要だ。

都市によっては住民の満足のために異なるアプローチをとっている。興味深い例にアムステルダム市が市民科学を用いて、地元住民の満足度を高める機会を作り出すという取り組みを行ったものがある。同市はこれまでの取り組みのほとんどが、協力したボランティアが結局は市民型センサー(つまり政府や研究機関のためにテクノロジーによってデータを集められるだけ)の役割を果たしただけで終わっていることから、今回の件についても批判はあった。しかしアムステルダムは社会資本を生みだし、科学者やデザイナー達との関係性を育んでいった。

アイデア #5 議論を生むこともあるスマートシティソリューション

モスクワ市のスマートシティの取り組みは昨年、交通監視と犯罪率が高い地域の防犯のために16万台のカメラを導入したことで大きく前進した。これはモスクワ交通管理センターの一部を成すものであり、4万の信号機と街から送られてくる膨大なビデオデータを貯蔵するストレージを含んだ、精密な監視コントロールシステムである。このデータは信号無視などをした車のナンバープレートを記録し、罰金を科すために用いられてきた。

モスクワ市に拠点を置くスタートアップ企業のエンジニアは、地元住民はカメラに反感を抱きつつも、仕方なく罰金を払っていると語る。世界モバイル会議のパネルディスカッションで、モスクワ市のCIO代理のAndrey Belorezov氏は徴収した罰金による収入がいくらになっているかを明らかにはしていない。英国でも防犯を建前として600万台のCCTVが導入されているが、こちらの方の状況はどうなっているのだろうか。もしセンサーが同じレベルで広まることで大気汚染度をリアルタイムで把握し、汚染物質を放出している大企業を特定、非難するようになれば世間はどのように変わるのだろうと気になるものである。

だが悪いことだけではない。一方ではデータの開示と開かれた政府という公約の元、バルセロナ市が市のポータルを開設した。市のテクノロジーとデジタルイノベーションの責任者であるFrancesca Briaは、世界モバイル会議で、これは市民と自治体をつなぎ、汚職の告発なども行えるものだと説明する。住民第一のアプローチに基づいたスマートシティが物事を正しい方向に持っていく一例だろう。

アイデア #6: スマートシティの導入は予算的に実現可能なものでないといけない

スマートシティの導入が予算的に近隣国や都市ともバランスが取れており、またその取り組みが完成形を見ることがないテストプロジェクトのレベルで終わらないようにするにはどうすればいいかというのは、難しい問題だ。あと10年でスマートシティに何が起こるのか、そして後に続くものが継続するために先駆者たちから何を学ぶことができるのかが興味深いところだ。

CATE LAWRENCE
[原文4]

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。
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