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スマートシティ開発で思う6つのこと(1)

2017年7月10日(月)
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バルセロナで開催された世界モバイル会議では限られた数の企業によるスマートシティの展開がステージを飾ったが、テクノロジーとして非常に興味深くまた、多くのことを考慮する価値がある分野だということもわかった。

以下はショーを見て思った私の考えだ。

アイデア #1: 伝統産業は、問題に対する革新的な解決策を創造するためにスタートアップ企業と連携するべきだ

2017年にドイツテレコムはNB-IoTを、ドイツ、オランダ、ギリシャ、ポーランド、ハンガリー、オーストリア、スロバキア、クロアチアの8カ国で商業的に展開する。パートナーと生みだしたものをお披露目したり、スタートアップ企業と提携して斬新なスマートシティソリューションを生みだしたりするためにNB-IoTが使われる。目を引く一例をあげると、カリフォルニアのスタートアップ企業 Ayyekaとのコラボレーションで現実となった水道管理システムがある。フィールドデータを意思決定層とSCADAシステムに伝えるプロセスを安全化・効率化するエンドツーエンドな遠隔モニタリングシステムであり、スマートなインフラ及び環境ネットワークを可能にする。

ほかに披露されたものにBeeAndMeによる蜂の巣モニタリングシステムがある。マイクロプロセッサにより養蜂に重要なさまざまなパラメータが観測される。”ベビーモニター”で集められたデータはデータマイニング技術で処理され、重要な科学的問いの答えを探す助けとなる。こうしたパートナーシップや連携が示すことは、スタートアップ企業がスマートシティに創造的なイノベーションをもたらすことができ、大企業の意思決定に多分な影響をおよぼしうる存在だということである。

アイデア #2: スマートシティソリューションは相互互換性のある多層構造であるべきだ

我々が必要としているのはスマートシティであり、個々のスマートシティプロジェクトの寄せ集めではない。実用性や効率性のうえで、スマートシティソリューションは単一用途なスタンドアロンのデバイスのようなものではなく、複数の問題を解決できる必要がある。それが1つのベンダーによって管理されることで、計画や実装、修理といった問題の解決を滞りなくできるようになる。

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例えばAT&Tが披露した街灯はセンサーが備わっており、道路や駐車場、通行人の状況などについて、公共と交通の安全を守る保安官とやりとりできる。大気汚染度や天候、銃声を検知するセンサーも導入することも可能だ。この街灯だけでさまざまな(そして今後も増える)機能を備えることとなり、それらの情報を複数のサービスプロバイダに配送することもできる。明確で率直であるということはデバイスにとって重要なことである。

アイデア #3: 大規模通信業者がスマートシティの資金面を支えている

GEのデジタル業界のスタートアップ企業、Currentは世界モバイル会議の機会を借りてサンディエゴ市の街灯にセンサーを内蔵したLEDテクノロジーを採用したものにアップグレードし、世界最大のスマートシティのIoTプラットフォームを作ると発表した。AT&Tはこれに対し、データ通信キャリアとして参加し、サンディエゴ市でのソリューション展開に非常に安全な接続をもたらす。この取り組みで市の年間の光熱費は約240万ドル節約されると見込まれている。

将来の利益で取り返せるとはいえ、こういったことにはそれなりに多額なインフラへの初期投資が必要であり、多くの地方自治体や当局には予算的に賄えないかもしれない。結果、多くの大企業が比較的安価、あるいは無償で時間と研究成果を提供している。

2016年の英国におけるスマートシティ開発の報告書は、スマートでコネクテッドなシティの実現を英国で達成するために、これまで多くのケースでスマートシティのリサーチや展開に十分な資金を集めることができなかった地方自治体の存在が鍵になると報じた。このことはリサーチの大手や大学シンクタンクによって資金援助を受けたスマートシティの取り組みは、外部からの援助を集めることはないものの、効率的なものであることを意味しているのかもしれない。しかし官民パートナーシップは、資金を最も提供したものが意思決定権を持つことを保証するために、平等なアプローチが取られる必要があるだろう。

CATE LAWRENCE
[原文4]

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