自動車が作る旅行プラン?IoTが自動車業界にもたらす影響とは
あらゆる業界がIoTの影響を受けているなか、自動車業界はコネクテッドカーで人々の興味を集めることに大いに成功している。予測的メンテナンスから駐車場予約のアドバイスをくれるスマートカーに至るまで、いまのコネクテッドカーにはかつて不可能だと考えられていたテクノロジーがそなわっている。
自動車業界全体が技術的な意味で変化しているが、イノベーションの面で他社に先行している製造業者は数えるほどだ。
最近バルセロナで開かれた世界モバイル会議にはテクノロジーや専門的知見、パートナーシップのユニークな組み合わせにより、未来の自動車の到来を早めるであろう眼を見張る業績を残す多くの製造業者が参加した。その目玉のひとつがSAPとHertz、Nokia、Concur Technologiesのパートナーシップだ。
以下にあげるのはこのパートナーシップがどのようにイノベーションプロセスを促進し、高い知能をもって自動化され、パーソナライズされたドライビングエクスペリエンスをユーザーに提供するかを手短に紹介したものだ。
Mojio – スケーラブルなコネクテッドカー向けサービスを提供するソリューション
Mojioは自動車と保険会社、通信業界とのシームレスなコラボレーションを可能とするプラットフォームで、先進的なデータ収集と分析をエコシステムで実現するものだ。ユーザーのコンテキストやふるまいといったデータを収集し、パーソナライズされたエクスペリエンスを提供しつつ資産の利用可能度とパフォーマンスを改善する。
SAP Vehicles Networkを基盤としてMojioはGoogle、Microsoft、Amazonと提携してユーザーに改善されたエクスペリエンスを提供する。次にあげるのはMojioとこれら大企業とのパートナーシップがユーザーにもたらす可能性だ。
・Amazon/UPS/DHL/FedExがジオロケーションデータを使い、顧客がレストランで食事をとってる時や
ミーティングに出席している時に、配達物を車のトランクに直接届ける
・IFTTTとMojioが協力して、ユーザーの旅行の習性からカレンダーを自動的に更新し、新しい旅を
Googleスプレッドシートに記録する。
IoTによる車内のパーソナライゼーションの可能性を模索するHertz
SAP Vehicles Networkに加入したHertzは、IoTを使って顧客にパーソナライズされたエクスペリエンスを提供する初のレンタカー企業になる。この提携により、Hertzは車内のパーソナライゼーションを通じて、顧客の求めに応じた旅行案内を行うことができるようになる。ほかにもHertzはConcur TechnologiesのTripLinkを使い、旅行中のあらゆる出費のレポートを1クリックで提示することが出来るようになる。ユーザーにとっての時短と利便性につながるものだ。
コネクテッドカーにマルチレイヤのセキュリティを提供するNokia
Nokiaは”あらゆるコネクテッドな物のための高い知能で管理プラットフォーム”(IMPACT)を設計した。IMPACTが提供するのは先進的なデータ収集、分析、ビジネス活用のための開発機能でサービスプロバイダはこれにより以下にあげるような付加価値の高いサービスを顧客に提供できるようになる。
・リアルタイムな交通情報の提供
・車内セッティングのパーソナライゼーション
・残燃料や速度その他のモニタリングと警告
NTTとSAPのコラボレーションによる公共交通の安全向上
向上されたエクスペリエンスの提供にくわえ、SAPはNTTと提携しライブ交通モニタリングとして知られる公共交通の安全向上も考えている。ソリューションは主に3つのコンポーネントからなる。SAPのコネクテッド交通安全ポータル、NTTのIoTアナリティクスプラットフォーム、そしてHitoeと呼ばれるユニークな生地だ。この生地はポリマーでコーティングされており、ドライバーのふるまいや主な健康上のパラメーターについての情報を収集することで、運転手や乗客の安全向上につなげようというものだ。
これら3つのテクノロジーが組み合わさることで、コネクテッドカーの開発は加速され、自動車業界がIoTの可能性を理解する助けとなるだろう。
RONALD VAN LOON
[原文4]
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