ざっくり解説 - Flash Liteの仕様
最近よく見かけるようになったモバイルフルFlashサイト
最近は企業のモバイルサイトでもフルFlashサイトを見かける事が多くなりました。ただし、PCのコンテンツ開発者にとっては、「Flash Liteは制限が多くて、何もできなさそう…」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。確かに実際に制限が多く、できる事も限られています。
しかし、逆に言うと制限を知る事によって「何ができて、何ができないか」を把握できていれば、携帯コンテンツ制作のヒントや、企画のアイデアになるのではないでしょうか。
携帯電話でのコンテンツは、PCとはユーザーのアプローチの方法も違いますし、携帯電話という特性をもっと使ったコンテンツがもっとあっても良いと思います。スクリプトがプアーだからと言って、アイデアがプアーになる事はありません。
Flash Liteコンテンツは「ざっくり」言うと…
では、Flash Liteの制限について、以下の6つの項目で見ていきましょう。
1.搭載端末のFlash Liteのバージョン
2.ファイル容量
3.使用可能な端末のボタン
4.外部へのアクセス
5.デバイスフォント
6.メモリ使用量
「1.搭載端末のFlash Liteのバージョン」については、2008年12月現在、docomoは、Flash Lite 1.0/1.1/3.0/3.1、auは、Flash Lite 1.1/2.0、SoftBankはFlash Lite 1.1/2.0/3.0といったバージョンが存在します。それぞれのFlash Liteのバージョンを、Flash Playerのバージョンで言うと、以下のようになります。
・1.x → Flash Player 4相当
・2.x → Flash Player 7相当
・3.0 → Flash Player 7相当
・3.1 → Flash Player 8相当
最も普及してるのは、Flash Lite 1.1と言われています。新しいFlash Lite 3.x搭載端末は、705iシリーズ、905iシリーズからとなり、それまでのシリーズはFlash Lite 1.1端末となるためです(docomoでのシェアが52%程度)。社団法人電気通信事業者協会の調べによると、事業者別契約数(2008年10月末現在)(http://www.tca.or.jp/database/2008/10/)は、docomoが53,969,600(51.8%)、auが30,498,400(29.3%)、SoftBankが19,751,600(19.0%)、合計で104,219,600となります。今後、docomoの705i、905i以降の比較的新しい端末が普及する事によって、Flash Lite 2.x以降のバージョンのコンテンツ開発が可能になってくると思われます。docomoの新しいシリーズ、x-01x系ではFlash Lite 3.1が搭載されています。
「2.ファイル容量」については、docomo/auは100KB、ソフトバンクは150KBとなります。ただし、au端末、docomo Flash Lite 3.1だけは、1回の通信の上限が100KBなので、loadMovie等を繰り返せば、メモリが許す限りいくらでも読み込みが可能です。
「3.使用可能な端末のボタン」については、docomo/auはブラウザに左右キーが割り当てられており、それぞれブラウザの戻る/進むになってしまいます。このため、上下キーで操作を連想するインターフェースでなければなりません。そのほかのキー(ソフトキーや、クリアキー)のキーイベントは取得できません。
「4.外部へのアクセス」については、ユーザーが能動的に「端末のボタンを押す」という操作をしないと実行できません。例えば、フレームアクションから自動的にload 系アクションが実行される事はありません(ただしdocomo Flash Lite 3.1では可能)。もちろん常時通信であるXMLSocket等は使用できません。また、上下キーはFlash Liteコンテンツのフォーカスの移動に割り当てられていますので、load系アクションは割り当てできません。
「5.デバイスフォント」については、Flash Lite端末では、限られたフォントサイズのみ表示する事が可能です(図1参照)。さらに端末ごとにフォントが違い、見た目の印象が変わってきますので、実機での確認が必要です。
「6.メモリ使用量」については、あまり知られていませんが、auのFlash Lite搭載端末の初期のもの(W21CA等)では、Flash Liteに割り当てられているメモリ量は1MB程度です。開発中はDevice Centralのビープメモリを見て、調整していきます。再生中は、FScommand2 を使い、useMemory = fscommand2("GetTotalPlayerMemory") - fscommand2("GetFreePlayerMemory");useMemoryをテキストフィールドに表示させれば確認できます。より多くの人に見ていただくためには、メモリは1MB程度で開発します。
そのほか、詳しい仕様をまとめたPDFをダウンロードできますので、参照ください(9131.zip/319 KB)。
以上をまとめると、Flash Liteの制限は以下になります。
1.最も普及しているのは、Flash Lite 1.1(Flash4相当)搭載端末
2.ファイル容量は100KBまで
3.端末のボタンは上下キー、決定キー、数字キー(0~9,#,*)しか使用できない
4.外部へのアクセスは、決定キー、数字キーのボタンアクションでないと実行できない
5.デバイスフォントの大きさは基本的に12px、20pxを使う
6.メモリ使用量は1MB程度に抑える
携帯電話はPCとは違う特性を持っています。圧倒的な普及率、どこでも使える、ユーザーとの近い距離、難しい操作なくネットに接続できる等々、携帯電話ならではのFlashの利用方法がきっと見つかると思いますので、ぜひFlash Liteコンテンツをビジネスや創作活動に生かしてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
「iモード向けFlashの特徴 | サービス・機能 | NTTドコモ」(http://www.nttdocomo.co.jp/service/imode/make/content/spec/flash/)(アクセス:2008/11)
「KDDI au: マルチメディア・コンテンツ Flashコンテンツ」(http://www.au.kddi.com/ezfactory/mm/flash01.html)(アクセス:2008/11)
「Mobile Creation(ソフトバンク:要登録)」(http://creation.mb.softbank.jp/flash/)(アクセス:2008/11)
「社団法人電気通信事業者協会 事業者別契約数」(http://www.tca.or.jp/database/)(アクセス:2008/11)