サーバの物理的側面とネットワークセキュリティ対策について

2006年7月19日(水)
伊嶋 謙二

はじめに

今回は、サーバの形状や設置場所についてなどサーバの物理的側面およびネットワークセキュリティ対策の実施状況についてのデータを紹介し、それぞれどのようなものであったか解説していく。

調査プロフィール

本調査は、ノーク・リサーチ所有の企業データベースから抽出した全国の年商5億円以上500億円未満でIAサーバを導入した民間企業約4,000社 を対象に、2006年1月から3月までの期間で郵送アンケートおよびWebアンケートを実施し、その結果有効票931件を回収した。

伸びるラック型、ブレード型の浸透はこれから

サーバの導入状況をCPUタイプで分類すると、2006年では「1way」が59.1%、Dualコア(2006年から分割回答)が7.9%で、そ の2つを加えると67.0%となり、実質的に「1way」は昨年より増え、サーバの大勢を占めている。また「2way」は17.2%で昨年の23.7%か ら大きく割合を落としている(図1)。
 

CPUのタイプ
図1:CPUのタイプ

サーバの形状別に見ていくと、デスクの横に手軽に置くことのできる「タワー型」が62.7%と圧倒的に高く、先ほど述べた「1way」の割合の高さとシンクロしているといえよう。
 

サーバの形状
図2:サーバの形状


次いで小型で積み上げることができ、場所を取らない「ラック型」が33.3%だ。「ブレード型」は1.9%で、昨年の1.1%とほぼ同じであり、中堅・中小企業にはまだほとんど導入が進んでいないことがわかる。

また昨年71.7%あった「タワー型」が9ポイント下がり、代わりに25.0%だった「ラック型」が33.3%と8.3ポイント割合を伸ばしている。これは小型の「ラック型」のサーバに代替して、サーバのコンソリデーション(集約)を進めていると考えられる。

多くの企業において、現在使用しているサーバの導入当時に省スペースタイプのものが少なかったことや、効率性などを考慮する選択肢がなかったため、 タワー型のサーバを導入したという経緯がある。そして設置場所もサーバルーム以外の事務所などに分散したものが、現在ラック型サーバに替わっているという ことだ。

またIDC(データセンター)が代表的な例だが、ラック型はスケールアウトの需要にシンクロしており、今後さらに増加することは間違いない。

こういった傾向は調査結果からもあらわれており、導入した年別のサーバの形状をみると、2003年以前に導入したサーバは「タワー型」が66.9% と約7割に対して、2004年以降導入したサーバでは「タワー型」が54.8%に減少しており、逆に「ラック型」が40.5%と大きく割合を高めている。

一方、「ブレード型」は1.2%から3.1%と数字を高めているが、現状では絶対数が少なく、まだまだこれからといえるだろう。

有限会社ノーク・リサーチ

1956年生まれ。1982年、株式会社矢野経済研究所入社。パソコン、PC(IA)サーバ、オフコンなどを プラットフォームとするビジネスコンピュータフィールドのマーケティングリサーチを担当。とくに中堅・中小企業市場とミッドレンジコンピュータ市場に関す るリサーチおよび分析、ITユーザの実態を的確につかむエキスパートアナリスト/コンサルタントとして活躍。1998年に独立し、ノーク・リサーチ社を設 立。IT市場に特化したリサーチ、コンサルティングを展開すると同時に、業界各誌への執筆活動も積極的に行っている。
ホームページ:http://www.norkresearch.co.jp/

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