サーバの導入プロセス
はじめに
第5回目の今回は中堅・中小企業が一体どういった目的でサーバ(システム)を導入し、どのような導入プロセスで進めているのかをみていく。この結果は実に興味深い課題が浮き彫りになった。
調査プロフィール
本調査は、ノーク・リサーチ所有の企業データベースから抽出した全国の年商5億円以上500億円未満でIAサーバを導入した民間企業約4,000社 を対象に、2006年1月から3月までの期間で郵送アンケートおよびWebアンケートを実施し、その結果有効票931件を回収した。
サーバの導入は「情報処理、IT部門」に任せきり
図1は中堅・中小企業がサーバを導入する際、どういった立場の社員が推進者・導入決定者になるのかを年商別に示したグラフである。

図1:サーバ導入プロセス
中堅・中小企業におけるサーバの導入プロセスの傾向はここ数年ほぼ変わらず、「情報処理・IT部門」が推進者となって、「経営者」が意思決定をする という構図がさらに顕著になりつつある。確実に中堅・中小企業における「ITシステム導入のIT部門任せ」は進行しているといえる。そしてこの傾向は年商 規模の大きい企業群で色濃くあらわれている。
「IT部門が推進者で、購入の意思決定は経営者・役員が行う」という状況は、すべての年商帯で最も高い割合を示している。年商別に見てみると、年商 100億円以上の企業が82.3%、年商10〜100億円未満では66.0%、年商10億円未満だと48.0%となり、大企業ほどサーバ導入に関して「情報処理、IT部門」に任せきりになっていることがわかる。
逆に「経営者・役員が推進者・決定者となる」が10億円未満では29.1%と、約3割は経営者・役員がシステムの推進に携わっているが、年商10〜100億円未満では11.4%、年商100億円以上の企業だとわずか2.3%にすぎない。
「IT部門」はまさにIT専門部署であるために、任されて当然である。この意味でIT部門への依存の割合が高まっていることは、中堅・中小企業においても「IT部門」の専門性が高くなってきていることとして評価される。
しかしいわゆるIT部門は「ITのプロ」ではあるが、経営や現場(ユーザ部門)のプロではない。企業戦略的なITという観点でみると「IT部門お任 せ」では少し具合が悪いといわざるを得ない。なぜ具合が悪いかといえば、「IT」は「OA機器」とは違い、企業戦略的な意味合いを持たされているからだ。