システム構築におけるLPARのメリット
ゲストOS(仮想サーバー)同士の独立性が高い
サーバー仮想化を推進するときに気を付けたい要素の1つに、仮想サーバー間の独立性があります。そもそも、それぞれの業務処理システムを物理的に独立させておきたいから、各システムのOSなどを分けているのです。仮想化によって1台の物理サーバーに統合した際、システムの独立性が悪くなってしまっては、元も子もありません。
Virtageでは、性能と信頼性の両面において、LPAR間の独立性を高めています。性能面では、CPU占有モード(ある物理CPUを特定のLPAR専用に割り当てるモード)を使えるようにしています。信頼性の面では、特定のLPARでの障害がほかのLPARに波及しないよう、障害部位を閉塞(へいそく)させます。
CPU占有モードは、性能面での独立性を高めます。一般のサーバー仮想化ソフトは、CPU共有モード(仮想サーバーに対して必要に応じて必要なだけCPUを割り当てるモード)で動作します。一方、Virtageでは、共有モードに加えて、占有モードの選択が可能です。ほかのLPARのCPU使用率が高くなっている場合でも、占有モード配下のLPARは、CPU割り当てを待つことなく高レスポンスで動作します。
I/O占有モード(あるI/Oを特定のLPAR専用に割り当てるモード)も、性能を高めます。I/O占有モード配下の仮想サーバーは、サーバー仮想化機能に介入されることなく、少ないパスでI/Oを起動できます。また、ほかのLPARにヒモ付いているI/Oの影響を受けないため、LPAR間におけるI/O負荷の独立性が高く、高い性能を確保できます。
一方、信頼性の面では、LPARで起こった障害がほかのLPARに影響を与えないように振舞います。例えば、CPUやメモリーに障害が発生した場合、障害の発生時点でその部位を使用していたLPARのみを障害の対象とし、障害部位を閉塞(へいそく)させたうえで、ほかのLPARの動作を継続します。
I/Oカードの障害が発生した場合には、そのカードを閉塞させます。ホット・プラグ機能(電源ONのままでI/Oカードを交換する機能)を備えているため、I/Oカードを交換した後、再度オンラインにすることで再度利用可能となります。ただし、1枚のI/Oカードを閉塞させてもそのI/Oに関連したLPARのOSが動作できるよう、あらかじめI/Oを2重化させておく必要があります。
図4: ハードウエアの部分障害が及ぼす影響を局所化する(クリックで拡大) |
IAサーバーの仮想化は基幹業務にも適用できる
現在、x86(IA-32)やItanium(IA-64)などのIA(Intel Architecture)サーバーが、業務システムのプラットフォームとして一般的に使われるようになっています。ところが、IAサーバーとサーバー仮想化機能を組み合わせた環境は、ミッション・クリティカルな基幹業務にはあまり使われていないのが現状です。
しかし、この状況は確実に変化しています。IAサーバーのCPU性能やCPUコア数は、着実に向上しています。商用UNIXに加えて、WindowsやLinuxの信頼性機能も年々向上しています。IAサーバーの仮想化環境の上に基幹業務システムを構築することは、十分に可能です。中でも特に、LPARのメリットを備えたVirtageは、基幹業務システムに適しています。
次回は、Virtageの運用管理機能について解説します。