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iOSとiPhoneの進化とこれから

2011年1月7日(金)
新居 雅行

iPadは何をもたらしたのか

iPhoneが単なる電話でないことは、2007年にリリースした時点から明確であったが、ネイティブアプリケーションを正式に使えるようになった2008年からは「持ち歩けるパソコン」という側面をより多くの利用者が感じていることだろう。そして多くのユーザーが感じていたのは「大きな画面ならもっといいのに」ということだ。前年から噂はあったが、AppleはiPadを2009年1月に発表、米国では4月、日本では5月から発売を開始した。iPhoneの発展形が大きなパネルであることから、前年より注目されていたAmazon.comのAmazon Kindleというライバルもあって、「電子書籍」というキーワードを強く世間にプッシュすることになったのである。電子書籍については、この連載の4回目にあらためて記事をお届けする予定だ。

iPhoneではアプリケーションがほぼ自由に作れたが、ともかく画面が小さい、そしてキーボードが小さくタイピングも大変ということで、こういった入力を必要とするアプリについては様子見なスタンスの人も多かったはずだ。しかしながら、iPadは大きな画面によってその心配を解消した。しかも、iPhoneのアプリケーションも使えるという互換性もあって注目されることになる。画面の大きなiPadだと、これまで慣れ親しんで来たPC/Macの代わりを果たす、近いところまで来ていると言っていいだろう。もちろん、全部取って代わることはまだできないが、Webサイトを見たり、メールの返事をしたりするくらいなら、iPadで十分という人も多いはずだ。利用者や開発者の想像がふくらんだところへ良いタイミングで投入できたことが成功の一因であると言える。

iPadによるイマジネーションの増大はいろいろ言われているが、読者の皆さんにぜひとも喚起したいのは、業務端末としての魅力だ。汎用の製品で、公開された情報で、業務アプリケーション端末が作れる。今までは単にPCを配給して、ほかには見せられないような使い勝手の悪い業務システムや、あるいはなんでもExcelみたいな事務作業現場だったのが、iPadによって、一言で言えばスマートにできるのではないかと考える経営者が決して少なくはないことだ。PCだと「まあこんなものでしょう」で済んでいた未完成な作りも、iPadに載せるという方針ができた瞬間に基準が変わり高くなる。この動きはじわじわとしかも長期間に亘って広がることが予想される。

ARを巧みに取り入れる試みはiPhoneで顕著に見られた

iPhone 4の性能をあらためて知る

6月のWWDCで発表されたiPhone 4は、より完成度を高め、ディスプレイの解像度を「網膜の限界」まで緻密にした、解像度で言えば、960×640ドットとなり、iPadと変わらないほどだ。これにより、グラフィックスがより精彩に表現できるようになると同時に、従来の解像度のアプリケーションもほぼ同じように表示できる互換性も持っている。このことに限らず、このところのAppleは互換性と非互換性の綱引きを実に巧みに行いテクノロジーの進化と自社製品への囲い込みを実現させている。

カメラの性能はもちろん、ビデオとしてもハイビジョン映像の解像度が可能となり、iPhone 4でのビデオ編集ソフトまでがAppleからリリースされている。このことから、前機種よりもかなり高いスペックを得たことが分かる。Wi-Fi接続時に利用できるテレビ電話の「FaceTime」も効果的なCMで話題になったが、Macにも搭載されていることから、iPhoneがパソコンに近づいたことの1つの現れと言えるかもしれない。

iPhoneにはさまざまなセンサーが搭載されているが、中でもジャイロスコープは特筆すべき1つで、従来のコンパスよりも方向をより正確に測定できる。AR(拡張現実:Augmented Reality)は携帯デバイスと組み合わせることで高い有用性を発揮するということを「セカイカメラ」が早くから証明したが、ARを取り込むアプリケーションもかなり一般的になってきている。

以前からゲームマシンとしての評価も非常に高いが、AppleによるGame Centerの登場、従来のアプリ内課金、そしてiPhone市場規模の増大を、ビジネスに敏感なゲーム業界が黙って見ているわけがない。iOS対応ゲームの状況については3回目の連載で紹介する。

iPhone 4は発売直後に、強く握ると電波が弱くなるという欠陥が指摘されたが、ケースをただで配ったりしているうちに、その話もなんとなくどこかに行ってしまった。もちろん小さな欠陥ではないが、そこまで話題になるのはAppleとその製品が大きな注目を集めていることを如実に物語るものとも言えるだろう。ホワイトモデルの出荷が結果的に遅くなったりもしているが。スペックうんぬん以前に、iPhone 4はそれまでiPhoneを見送っていたような人たちにもかなり手を出させたという意味で、集大成的な機種と言える。

フリーランスのトレーナー、コンサルタント、プログラマー、ライター。MacやiPhoneを中心としたトレーニング、FileMaker、 Access、MySQLを軸にしたWeb系の開発などが主な業務。iPhoneアプリ「郵便番号検索」を開発し、App Store開設初日に掲載される。Apple認定トレーナー、Apple認定システムアドミニストレータ、Microsoft認定トレーナー、 FileMaker認定デベロッパー。著書に「iPhoneアプリケーションプログラミング」など。京都工芸繊維大学大学院修了。

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