ネットワールド イベント~“新しい”Hyper-Vを使った仮想化基盤の設計/構築ポイントを紹介
仮想化のスペシャリストが集合 パネルディスカッションで論議を交わす
セミナー後半には、マイクロソフトの高添氏とネットワールドの末森氏に加え、仮想化のスペシャリスト、エキスパート3名が集結。共著となる「Hyper-Vシステム設計ガイド」の発売を記念し、著書の内容に沿ったテーマでパネルディスカッションを実施した。
パネリストとして新たに加わったのは、日本ヒューレット・パッカード プリセールス統括本部 サーバー技術本部 インダストリスタンダードサーバー技術部サーバースペシャリストの小川大地氏、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)のITエンジニアリング室 インフラソリューション技術第1部 ICTソリューション推進課 杵島正和氏、ネットアップ 技術本部 ソリューションSE部 シニアシステムズエンジニア 高野勝氏である。以上の5名は、先に紹介した書籍の共同執筆者である。
ディスカッションでは具体的なIT基盤構築プロジェクトを想定し、プロジェクトを進める上で必要な点、見落としがちな点などが解説された。「IT環境の効率的な利用」「グループ全体の業務効率と業務品質の向上」「高可用性、高信頼性の確保」にフォーカスしたプロジェクトを引き合いに出し、具体的な留意点などを挙げていった。
例えば仮想マシンとホストとなるサーバーの要件をどう決めるか。CTCの杵島氏は「どのようにクラスタ環境を構成するのかまで踏み込んで検討すべきだ。どんな用途でどのように使うかを想定して要件を導き出すのが基本である」。
既存の物理環境から仮想環境にアプリケーションを移行する際の注意点も指摘した。「従来のバージョンを使い続けるかどうかで仕様は変わってくる。バージョンアップすれば、求められる仮想マシンの要件は従来の物理環境とは異なる。仮想環境への移行を機にバージョンアップするケースは珍しくない。サーバーのリソースをどの程度割り当てられるかを含めて検討したい」(杵島氏)。
管理ツールの必要性も話題に挙がった。仮想マシンが動的に異なる物理サーバーに移動する「ライブマイグレーション」や、障害が発生したときに代替サーバーが処理を引き継ぐ「フェイルオーバー」を実施する場合、物理サーバーのリソースや稼働状況を適切に管理する必要がある。「Hyper-Vを用いれば、ライブマイグレーションやフェイルオーバー時のリソース管理は可能だが、リソースを動的に最適化したり、ホストOSにパッチを適用したりするにはSystem Center Virtual Machine Managerが必要である。プロジェクト終了後の運用まで想定したシステム環境を検討すべきだ」(小川氏)。
ネットアップの高野氏はバックアップ環境構築時の注意点を指摘した。「バックアップはそもそもリカバリーすることが前提だ。いつの時点に戻すか、何時間で戻すかといったRPO(目標復旧時点)、RTO(目標復旧時間)を考慮してシステムを選ぶべきである」(高野氏)。
クラスタやネットワーク構成についても議論を交えながら、聴衆にポイントを解説した。パネルディスカッション後は、参加者から多くの質問が寄せられ、最後まで熱い議論が続くセッションとなった。
株式会社ネットワールド
http://www.networld.co.jp/
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