クラウド・インフラへのスムーズな移行
タスクの自動化を可能にするSnapManager
ストレージサービスを利用するユーザーは、ストレージ管理者のサポートがなくても、セルフサービスで一般的な操作を実行できるようにすることが重要です。
そのため、SnapManagerは、主要なアプリケーション、例えばOracle DatabaseやMicrosoft Exchange Server、Microsoft Sharepoint Server、SAPなどのアプリケーションとの連携が図られ、これらのアプリケーションのレベルでデータの一貫性、整合性を保証します。
つまり、アプリケーション管理者やDBA、サーバー管理者自身に、特にストレージシステムの管理知識がなくとも、ポリシーを設定し必要なタスクを自動実行できるようにすることで、サーバーやアプリケーション環境に完全に統合化された総合的なデータ管理を実現します。
また、自社製品だけでなく、APIやWebサービスを介して総合システムに統合でき、エンドツーエンドのクラウド管理ソリューションを構築できるようなアプローチも行っています。
一例として、VMware vCenterのAdd-on製品として無償提供されている、Rapid Cloning Utilityというツールがありますが、これを利用すると、vCenterのGUIからNetAppのストレージに対し、仮想クローニングの実行によるボリューム生成やその破棄などを簡易な設定で行えるため、VMのGold Imageなどを効率よく短時間で複製することができます。
クラウドインフラの運用にあたっては、実行タスクの自動化だけではなく、クラウドインフラを構成するストレージ環境全体をエンドツーエンドでリアルタイムにモニタリングし可視化することが必要です。これにより、リソースの構成変更や利用状況の変化をリアルタイムに把握できるようにし、チャージバックを可能にするためです。
そのため、インフラ構成要素をビジネス・サービスに自動的にマッピングし、可用性、パフォーマンス、ポリシーの問題の監視と警告、サービス・レベルの監視、チャージバック目的の使用量の測定、適切なストレージ・リソース利用率を維持するためのプロアクティブな容量管理と、目的に応じたレポーティング機能が必須となります。NetAppでは、これらの要件に対応するため、SANscreenという製品を提供しています。
セキュアなマルチテナント環境
従来は、データの独立性とセキュリティーを実現するために、個別のストレージ・ハードウエアが必要でした。しかし、クラウド環境、特にプライベートクラウドにおいては、従来と同様の高度なセキュリティーが要求されるのに加え、従来をはるかに上回るハードウエアリソースの高効率化が求められます。
そのため、ストレージにおいてもサーバー仮想化環境と同様に、単一のストレージ・システム上に個別の専用仮想ストレージ・コントローラを複数台構築し、プライバシーやデータ・セキュリティーへの影響を最小限に抑えつつ、高いストレージ利用率を同時に実現可能なマルチテナント・クラウド・ストレージ環境の実現機能が必須となります(図2-2)。
これにより、単一の物理ストレージ・システム上で複数の顧客に個別の「仮想ストレージ・コントローラ」を割り当てることができるようになり、仮想ストレージ・コントローラを、それぞれを1台の物理ストレージ・システムのように使用できます。
NetAppの場合は、Data ONTAPに搭載されている機能の1つ、MultiStoreによってこれを実現しています。MultiStoreでは、ユーザーが定義した境界に基づいてストレージとネットワークの論理分割を行い、プロビジョニング、移動、保護を行うことができます。仮想ストレージ・コントローラでは、クラウド・サービスの特定のアプリケーションや顧客に対応するコンテナごとに、適切なポリシーを適用できます。
さらに、この論理分割した仮想コントローラに対応する各ボリューム単位で、そのボリュームに対する処理に必要な各種リソース(CPU、NVRAM、ディスクI/O)への優先度を多段階で指定可能な機能(FlexShare)と組み合わせることで、マルチテナント環境における、限られた物理リソースの利用効率の最大化とセキュアな区画を維持します。