自動化で運用管理コストを削減する

2009年12月2日(水)
星野 敏彦

変更および構成管理の自動化とHPソフトウエア

次に、サーバー、ネットワークの変更および構成管理の自動化ツールと事例を紹介します。

1)サーバー自動化

サーバーの自動化とは、サーバーのベースラインの確立から、ベアメタル・プロビジョニング、パッチの適用、構成管理、スクリプトの実行、監査、さらにサーバー仮想化、仮想マシンの各種設定にいたるまでの物理、仮想サーバーとアプリケーションのライフサイクルを管理することです。

「HP Server Automation software」は、ITプロセスの自動化と統合して、物理、仮想サーバーのライフサイクル管理を実現し、変更管理、インシデント管理、およびリリース管理プロセスを自動化します。

ITサービス事業者のEDS(2009年にHPと合併)では、ある企業に対して、毎週350台のLinuxサーバーのビルト・インが必要でした。この作業を行うには、これまで1人あたり1日4台のサーバーのビルト・インを実行し、完了までに3週間の工数が必要でしたが、自動化によって、350台のLinux サーバーのビルト・インに、2名で2日の工数で対応できるようになりました。

2)ネットワーク自動化

ネットワークの自動化とは、ネットワーク・デバイスのプロビジョニングから、変更管理、コンプライアンスおよびセキュリティ管理に至るまで、ネットワーク運用ライフサイクル全体を自動化することを指します。

HP Network Automation softwareは、リアルタイムの変更検出、構成、コンプライアンス、アップデート、ACL(Access Control List)管理、プロビジョニング、パッチ適用を自動化し、主要なネットワーク機器ベンダーのデバイスに対応しています。

EDSの事例では、数千のネットワーク・デバイスのポリシー・コンプライアンス・チェック作業に15週間も要していましたが、自動化で、5時間程度に圧縮することができました。

まとめ~データセンター自動化のメリット

HPでは、上記に紹介したほかにも、2つの関連製品があります。

(1)「HP Universal CMDB software」 サーバーやネットワーク、ストレージ、アプリケーションなどの構成項目と各要素間の複雑な関係を自動的にモデル化した構成管理システム。

(2)「HP Storage Essentials software」 サーバーからストレージまでの相関関係を可視化し、ストレージ・デバイスの監視、性能分析、プロビジョニングを行うストレージ・リソース管理ソフト。

データセンター自動化は、定型的な日常業務を自動化することによってコストの削減が期待できるITイニシアチブです。すでに海外のみならずわが国でもデータセンター自動化の実用、導入が進められています。

データセンター自動化を実施することによって、コスト削減のほかにも、次の3つのメリットがあります。

1)可用性の向上

ITサービス管理のベスト・プラクティスに基づく変更管理および構成管理、導入時のビルド・構成の標準化を可能にし、人的ミスをなくすことで、ネットワーク、サーバー、アプリケーション、ストレージの可用性を高めます。

2)コンプライアンスの向上

法令や業界基準などに基づく監査や対応、レポート作成を自動化することで、監査準備の時間とコストの両方を節減して、コンプライアンスの実現を支援します。

3)災害復旧

災害復旧やフェイル・オーバーのテストでは、多くの作業を特定の順序で実行することが求められます。この点、自動化に適しており、自動化によって、ミスの発生を防ぎ、プロセス情報が可視化されます、

次回は、近年急速に導入されている仮想環境に対して、IT運用管理はどのように対応すべきかを解説します。

【参考製品】

「HP Operations Orchestration software」
「HP Server Automation software」
「HP Universal CMDB software」
「HP Storage Essentials software」

日本ヒューレット・パッカード ビジネス・テクノロジ・ソリューションズ事業本部
国内システムインテグレータおよび外資系通信会社でエンジニア、マーケティングを経て、2001年日本ヒューレット・パッカード株式会社入社。2007年、米HPによるOpsware買収に伴い、データセンター自動化製品のマーケティング活動を担当。CISSP。
http://twitter.com/momotoshi/

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