ばらばらのファイルサーバーを統合!
複数あるファイルサーバーのメリットとデメリット
ファイルサーバーをITインフラに組み込んでいる企業は多くあり、第1回で説明したようにファイルサーバーにも用途や規模によってさまざまなタイプが存在する。第3回は、ファイルサーバー運用のコツとして、複数に分散してしまったファイルサーバーを統合について解説する。統合により、TCO削減とセキュリティー強化が期待できる。
まず、複数あるファイルサーバーのメリットを考えてみると、1台1台の導入と運用のハードルが低いことが挙げられる。少数のファイルサーバーであれば管理も難しくなく、導入コストも安価である。また、ストレージ容量が足らなくなれば同様のファイルサーバーを追加することで、とりあえず事足りる場合が多い。
デメリットとしては、少数で事足りなくなってくると、管理が煩雑になることに加え、セキュリティーポリシーやコンプライアンス要件が行き届かなくなってしまうことである。台数が増えれば、それぞれの信頼性の差も生じることが容易に想像がつき、データが増えてくれば、バックアップや災害対策の必要性も高まる。
複数あるファイルサーバー環境の例
ここで、ある中堅企業でのファイルサーバーの運用例(図1)を挙げてみる。この例では、5TBのデータが10台のファイルサーバーに分散しており、次のような状況に置かれている。
現状では、バックアップに要する時間(バックアップウィンドウ)の要件に対応するために、3台のテープドライブでの平行運用をしている。しかし、ファイルサイズの拡大、および多くのファイルの重複により、データ量がよりいっそう増大している。このため、バックアップ時間の増大、作業の複雑化が顕在化している。しかも、バックアップテープが200本を超え、これらの管理も困難になってきている。
さらにこうしたバックアップテープが不適切な場所に置かれていることや、そのほかのリカバリー障害が原因で、ファイルリカバリーに関する問題がたびたび発生し、リカバリーに要する時間が長くなっている。
こうした問題に加え、ファイルサーバーの増加に伴い運用管理のコストが増加している。特に、見えにくいコストとして人件費がかさんできてしまっている。また、部門単位にファイルサーバーを設置すると、セキュリティーのレベルがサーバーごとに異なってきており、結果として全社でのセキュリティーレベルを低下させることにもつながっている。
こうした状況から、ファイルサーバーのインフラストラクチャに関するTCOの削減、および関連するIT要件の軽減を検討する時期に来ている。
皆さんも思い当たる点があるかもしれない。ファイルサーバーがこのように増殖してしまった場合の運用面での解決案を第2回で説明したが、今回は、増殖したファイルサーバーを統合することでの解決を考えてみようと思う。