BCPにおけるCDPの要請
CDPからの解答
先に挙げた、BCPの観点から見たデータ・バックアップの4つのポイントについて、CDPからの解答を整理します。
(1)あらゆる障害/災害からストレージ内容を保護する
データ保護の本質は、データを回復できるようにすることです。CDPでは、データを回復する手段と仕組みが、従来のバックアップ・ソフトのアプローチとは異なっています。このうえで、従来のバックアップ・ソフトと同様に、大容量のデータベースやメール、システムを保護できます。
(2)常に最新の状態を確保することで短時間のリカバリを実現する
CDPでは、データをバックアップする操作自体がシステムによって自動化されており、保護対象のシステムや回線に負荷を与えることなく、最新の状態をミラー・ディスクの状態で実現します。
(3)短時間で業務回復/再開を実現する
CDPは、常時継続的にミラーを自動生成しているので、指定した時点への復旧に柔軟に対応できます。ミラー・ディスクなので、データの書き戻しを行わずに業務復旧に寄与できます。遠隔拠点に復旧サイトを設置している場合も、遠隔拠点側にもCDPを導入することで、ミラー・ディスク間のレプリケーションが実現できます。
(4)コストを低く抑える
下記の要素によって、CDP導入後のコストを軽減できます。
- バックアップ用のメディアを削減できる
- 遠隔地へのバックアップ・メディア保管をDRサイトの運用で代替できる
- DRサイトの接続には低帯域回線(廉価なベスト・エフォート回線)を利用できる
(1)から(3)についての裏付けはすでに解説したので、以下では、(4)のコストの課題について、実際のユーザー事例をベースに解説します。
事例にみるCDP
精密機械メーカーのA社は、有事の際でも取引先データを守って事業を継続できるよう、大容量のCADデータやファイル・サーバーを効果的かつ強力に復旧できるバックアップ手法を求めていました(図3)。これまではテープによるフル・バックアップを夜間バッチで運用してきましたが、データ量が多く、翌日の出勤時にぎりぎり終了するという状況でした。磁気テープは週に1度、外部に保管していました。
サーバーが被災したり、ビルへの立ち入りが制限されることを想定すると、バックアップ・テープの運用が困難になることもありえます。このためA社では、外部にバックアップ・サーバーを設置することを求めていました。バックアップ時間の短縮や回線費用の抑制なども要件として挙がっており、さらにデータ容量が2Tバイトであることから、この容量を処理できるリモート・バックアップ・システムを想定していました。
従来のバックアップ・ソフトは、データが大容量になると、機能やパフォーマンスの制限から運用が難しくなります。また、データの大容量化にともない、リモート接続回線も大容量な回線を選択することになり、費用の抑制を優先課題にした場合は都合が悪くなります。
遠隔地へのデータ転送においては、多くのソリューション(問題を解決するための製品やサービス)がファイル単位でデータを転送する一方、FalconStor CDPではブロック単位でデータを転送します。これにより、低帯域のベスト・エフォート回線を用いた遠隔地へのレプリケーションが可能になります。
コストは、BCPを考える際に優先すべき要素の1つです。多くのシステム事例において、今回のケースのように「大容量データの遠隔バックアップ」と「回線コストを抑える」というジレンマの解決手段を探さなければなりません。費用と効果をいかにバランスさせるのかという観点で、FalconStor CDPが備える機能は有効性が高いと言えます。
次回は、仮想化環境に対するデータ保護/システム保護について、詳しく解説していきます。