サーバーの仮想化とバックアップ運用

2009年12月21日(月)
関 信彦

サーバー仮想化の狙い

昨今、サーバーの仮想化が進んでおり、筆者が属するファルコンストア・ジャパンでも仮想化環境に関わる事案の話を多く聞きます。今回は、仮想サーバー環境を効果的にバックアップする方法について解説します。

サーバー仮想化の狙いは、ハードウエアを削減し、その管理の合理性を追求することにあります。ところが、データ・バックアップを含めた管理面の合理化までを目的としてとらえているケースは少ないようです。

今のところ、まだ重要な業務をサーバー仮想化環境に移していないため、データのバックアップまでは真剣に考えていない/優先事項になっていない、という場合が多いようです。いずれにせよ、今後、サーバー仮想化環境が一般的になったときには、データの保護を含めた運用管理が重要になります。

前回は、従来のバックアップ・アーキテクチャーにのっとった場合と、CDPという新しいデータ保護のアーキテクチャーとの違いをいろいろな場面で対比し、CDPの特徴を紹介しました。今回は、次世代のITのプラットフォームである仮想化環境におけるCDPの優位点を解説します。

仮想化環境ではバックアップ・ソフトは居場所がなくなる

バックアップ・ソフトはそもそも、CPUリソースを消費するアプリケーションです。仮想化を適用していない物理サーバー上では、業務アプリケーションの稼働が終わった後にバックアップ・ソフトが稼働し始めるという設定であれば、その物理サーバーのCPUのリソースの観点では、さほど大きな影響を与えません(図1の左)。

一方、仮想化を適用したサーバー統合環境においては、CPUのリソースを消費するバックアップ・ソフトは、少々居場所を探すのが難しい立場になりそうです(図1の右)。なぜなら、業務サービスが稼働する複数の物理サーバーを仮想化して1つの物理サーバーに統合する目的は、物理サーバーのCPU負荷を定常的に高く維持することだからです。

サーバーの仮想化/統合化には、管理の合理化も当然期待されるべきですが、現実には、データのバックアップはどうしても後回しの検討課題になりがちで、その検討から漏れる可能性もあります。サーバーの仮想化においては、データのバックアップ/リカバリを一緒に検討することを意識したいものです。

次ページからは、仮想化環境でのバックアップの取得方法について、現状をふまえつつ解説します。

ファルコンストア・ジャパン
外資サーバベンダーとソフトベンダーにてシステムアナリスト、プロダクトマネージャ、プロダクトマーケティングという職域で日本のITビジネスに長年携わる。2009年9月より現職。現在、BCPをはじめとした昨今のニーズに合った新しいデータ保護(バックアップ&リカバリ)の市場開拓、マーケティング業務に携わる。
http://www.falconstor.co.jp/

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