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バックアップ運用の見直し

2011年6月14日(火)
関 信彦

バックアップとは危機管理として行う

この回では、データやシステムのバックアップ運用についての見直しをする上で、気になる点を探ってみようと思います。「バックアップとは何か?」から考え、その目的や、歴史的な背景、現状、そして課題を見ていきたいと思います。

バックアップは何の目的で行うものでしょう?「何かあったときのバックアップ」という言葉は日ごろから使います。ここでの「何か」とは、災害といった有事、非常事態を指し、その事態からの復旧をするための元になるものがバックアップであるわけです。有事の前後という区切りで見ると、前回取り上げたように有事後の行動となり、バックアップはまさに危機管理の範疇になるわけです。

バックアップは、有事が発生したと仮定して、復旧をするための重要な源泉になります。これがなければ始まらないという事です。その源泉をきちんと確保する事は言うまでもありません。

さて、その重要なバックアップですが、ITの分野では、システムやデータのバックアップを指します。そのバックアップの確保を、通常は日次のバックアップ、月次のバックアップといった具合にスケジュールして、決められた時間枠内でデータを本番で稼働するディスクから別媒体へとコピーを作り、そしてバックアップデータを確保しています。

バックアップは、別媒体にデータを移す事で成立します。そもそもなぜ別媒体にバックアップを取るかと言うと、データが収まっている本番のディスクを始め、コンピュータのハードウエアが故障する事を前提にしているためです。今も昔も、この考え方に変わりはありません。

図1:バックアップ運用の変遷

バックアップの歴史と変遷

別媒体にデータを保管するという事をバックアップとするならば、テープを媒体としたバックアップはメインフレームの時代からあり、テープにバックアップを取るという運用は、テープが可搬性に優れている事から今でも行われている定番の方法です。テープの規格、データの書き出し、読み出しを行う装置の性能もこれまで変化を重ねてきました。

また、バックアップの速度を重視し、ディスクへバックアップを行うという変遷をたどり、さらに、ディスクメディアに保管するデータの重複を除外する事で、ディスク領域の消費量を減らすという事に、ここ数年注目を集めています。

このように、バックアップをする事に対する変化は、個々の技術の進化はあるものの、アーキテクチャーを含めてそれほど大きくはありません(図1)。それは、他のメディアにデータを移す事についての手法や技術の変遷はあっても、いざ有事の際の復旧には依然としてバックアップメディアからの書き戻し(リストア)が必要だからです。リストアの速度が劇的に向上する事はなく、有事の際の復旧時間に大きな割合を占める事が挙げられます。十数年も続くバックアップのアーキテクチャーを使い続ける限り、このリストア時間を常に考慮する必要があるのです。

利用する側の変化で言うと、例えば企業が保有するデータ量の増加がまずは思い浮かびます。多くの調査結果では、データ量の増加は年間50%から60%の変化率をもっていると言われています。また、ITのプラットフォームも物理サーバーと仮想サーバーの混在環境になっているため、複雑な環境でのバックアップ運用や復旧運用の準備をする必要があり、従来のバックアップ手法の限界も浮き彫りになってきたのではないかと思われます。

次ページからは、もう少しバックアップ課題について掘り下げてみたいと思います。

ファルコンストア・ジャパン
外資サーバベンダーとソフトベンダーにてシステムアナリスト、プロダクトマネージャ、プロダクトマーケティングという職域で日本のITビジネスに長年携わる。2009年9月より現職。現在、BCPをはじめとした昨今のニーズに合った新しいデータ保護(バックアップ&リカバリ)の市場開拓、マーケティング業務に携わる。
http://www.falconstor.co.jp/

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