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「人工知能(AI)」に関する2017年、5つの予想

2017年1月12日(木)
ReadWrite Japan

AIがいよいよメインストリームに躍り出た。

業界リサーチ企業のGartnerは、2016年だけでAI関連の買収は40件を数え、2年連続でAIのことをもっとも優れた戦略的テクノロジーであると評しているGoogleやIBM,SalesforceにAppleといった大手によるAI企業の買収合戦は熱を増しすだろうと予想している。

また、我々の調査でも大企業の62%が2018年までにAI技術を使うようになるという結果が出ている。このように多くの人がAIを受け入れるようになっているという事実をもとに、2017年にはコミュニケーションとAIとの間に何が起こるか予想してみた。

  1. 対話型インターフェースへの動きが加速する
  2. AIのデザインは信頼感を生むよう変化する
  3. AI同士のやり取りに関する話が始まる
  4. AIがバイアスのせいで非難されるようになる
  5. AIがはじき出す費用対効果をアテにしだす企業

この分野をリードする立場として、我々は他社と人とマシンの“コミュニケーションギャップを埋める”取り組みをおこなっている。我々の予想は、2017年にコンピュータと他のデバイスが、またAI同士が、そして我々が、AIとどうコミュニケーションを図るのかという点についてである。

#1 – 対話型インターフェースへの動きが加速する

近年の大手による数々のイノベーションへの取り組みは、対話を通じてテクノロジーとコミュニケーションを図ることが普通になる時代を見越してのことである。対話型インターフェースはそれほどにすごいものなのだろうか?

我々が推測するに、業界勢力図を塗り替える程の可能性をもつものだ。コンピュータの出現により、我々はコンピュータとのコミュニケーションのために彼らが理解できる言葉を使うようになったが、いまやこちらが彼らに我々の言葉を教える番である。

GoogleやBingなどのサーチエンジンは、すでに口語による検索クエリを実現するために積極的な手を打っており、Facebookは「DeepText」の取り組みでAIを使った個人の会話パターンや興味を理解しようとしている。また、チャットボットやデジタルアシスタントに取り組む企業の自然言語インターフェースへの動きは勢いを増しており、メッセージングアプリですらソーシャルネットワークの勢いを削いでいるほどである。

2017年以降、お題に関わらず“デバイスに情報を尋ねられる”将来を想像してみるといい。「当座預金口座の残高は?」「最後に健康診断受けたのはいつ?」あるいは「車で10分以内の2人予約できるレストランってどこがある?」といった感じになるだろう。

#2 – AIのデザインは信頼感を生むよう変化する

とはいえ、人がAIを信用しない限りこういった状況は成りえない。デザイナーたちは人とのやり取り、特に信頼を育むにはどうするかと言った分野の知見を生かしたデザインを適用することになるだろう。口調や感情、タイミング、仕草や言葉の選択が自然言語のようなAI技術との組み合わせから、我々がAIをいかに信頼するようになるのかが見えてくるだろう。

この点については、スタンフォード大による「AIが次の100年に及ぼす影響について」の研究でよく述べられている。

「人間がAIのシステムとその意思決定(なぜその意思決定をおこなったのかについての説明)を理解でき、その利用に前向きになれるようなデザイン戦略は信頼の育成と大規模な障害の回避に有効なものだ。エンジニアとデザイナーの手でAIに人が自由に関われるようなシステムを作り上げることは重要である。」

言い換えれば、いつかAIで動く家の監視システムが思いがけない訪問者に対して開錠した場合、なぜそうしたのかについて説明できた方がいい、ということだ。

#3 – AI同士のやり取りに関する話が始まる

2017年には、AI同士がやり取りするための標準規格の策定が始まるだろう。こういった規格がなければAI技術は乱立し、複数のシステムによって一つの解を導き出すような場合に悪影響を及ぼすことになる。

衝突しそうな自動運転車同士がやり取りできなかったり、企業(残念なことに多種多様なAIを導入している)の意思決定において一方のシステムは生産量が適切だと判断しているのに、データソースが他にあるシステムの方は生産量を変更すべきだと判断しているような状況を想像するといい。2017年はIT大手や工業団体、政府機関がAIの規格について話し始める年となるだろう。

#4 – AIがバイアスのせいで非難されるようになる

2016年には複数の情報源から影響を受ける例が見られるようになった。電車システムで使われるデータやユーザの操作によるデータ、類似性バイアスや目的が相反する入力などがその例に挙げられる。

これらデータによるバイアスの影響は、いまのところ目につくようなものではないが、AIの利用が広がり人々の生活へ及ぼす影響が大きくなっていけば、そのシステムが何に影響されているかの告知はされるべきだ。さもなければAIの普及に大きな打撃となるだろう。

#5 – AIがはじき出す費用対効果をアテにしだす企業

企業はAI技術のもつ実証可能な価値や費用対効果に着目し始める。現在、AIがらみのスタートアップ企業に対する投資は伸び続けている。2011年では9400万ドルだった投資額が、2016年には10億4900万ドルと過去5年だけでも10倍近くになっている。だが商用ベースの利用例はあまりなく、イノベーションチームやR&Dによるテスト的なものがほとんどだ。2017年は企業が投資に対する効果に疑問を持ち始める年になり、AIはその期待に応えなければならない。

「AIやロボットが人間を殺しにくる」という話をしていた時がほんの2年前だ、という事実は驚くべきことである。テクノロジーの先導者たちはAIが破滅をもたらすと喧伝していたが、いまとなっては、彼らの中にAIを推進するための団体を作っている者がいたりする。これらはすべて大変短い期間で起こったことであり、我々はAIを恐れるよりもその利点に気づき始めている。

2017年、私の予想が当たっているかどうかをふり返る時が楽しみだ。あるいは、その時に予想が当たっていたかどうかを判断するのはAIなのかもしれない。

STUART FRANKEL
[原文4]

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。
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