次世代データセンターのロードマップ
ハイパーバイザの効率向上
データセンター運営で重要なポイントは、ハイパーバイザの効率化である。CPUの性能が高まっているためにあまり注目されてはいないが、実はハイパーバイザを使うと、仮想化を利用しない場合と比べて30%から50%の性能低下が発生する。これは主に、ハイパーバイザによる完全仮想化のオーバーヘッドである。
Brocadeやほかのベンダーも、ハイパーバイザのオーバーヘッドを解消するため、I/Oアダプタ(ネットワーク・カードやストレージ接続用アダプタ)の仮想化を実現しようとしている。PCI-Expressで規定されているSingle Root I/O Virtualization(SR-IOV)技術を適用した準仮想化ドライバを使うことで、このオーバーヘッドを小さくすることができる。
また、仮想化環境では、複数の仮想サーバーのトラフィックを単一の割り込みコントローラが制御することによるオーバーヘッドが発生する。Brocadeでは、この問題を回避する仕組みを用意するとともに、仮想サーバーごとに仮想キューを備えるなどサーバー仮想化に適したアダプタ製品を提供する予定である。
一方、ハイパーバイザの負荷を軽減し、多くの仮想サーバーを集約すると、仮想サーバー間のトラフィックの多くが物理サーバー内に閉じることになる。すると、ハイパーバイザが実装しているソフトウエア・スイッチの負荷が無視できなくなる。このため、ソフトウエア・スイッチの処理をハードウエアにオフロードすることが重要になってくる。
こうした背景の下、IT業界では、ネットワーク・カード(NIC)をスイッチ機器として動作させてフレーム転送させる仕組み(Virtual Ethernet Bridge)や、外部スイッチにおいて仮想サーバー間トラフィックに対してポリシーを適用する仕組み(Virtual Ethernet Port Aggregator)など、多くの仕組みを標準技術として議論(IEEE802.1Qbg, 802.1Qbh)している。
まとめ
ここまで4回にわたって、仮想化環境のプラットフォームである次世代データセンターに求められるネットワーク技術について解説してきた。前半では、特に重要な点として、ネットワークにおいて管理すべきポイントと管理フレームワークについて解説した。Brocadeでは、連携APIの提供により、ビジネス・システム全体として運用管理できるよう心がけている。
連載の後半では、次世代ネットワークのアーキテクチャを構成する技術について解説した。Brocadeの技術と製品を使えばデータセンター・ネットワークをエンド・ツー・エンドで構成できることが理解できると思う。今後もデータセンター技術に関心がある方は、Brocadeの動向に注目していただきたい。
4回の短い連載では語れなかったことも多いが、Brocadeでは無償セミナーも随時開催している。興味を持った方は、ぜひ、こちらにも参加していただきたい。