DWHのプライベート・クラウド化

2010年3月25日(木)
TIS株式会社 サービス&コミュニケーション事業部 ソリューションチーム

プライベート・クラウドはグローバル展開に向く

プライベート・クラウド(仮想化環境)は、海外で事業を展開するグローバル企業にとっては、特にメリットが大きいシステム形態です(図3)。サーバー資産を効率的に活用でき、運用負荷の軽減にもつながります。

日本と北米には時差があるため、日本での処理負荷がピークとなるタイミングでは、北米事業所のDWHに割り当てているサーバー・リソースを縮小させて日本に割り当てるといった運用が可能になります。

APAC(アジア太平洋)地域に新たな事業所を設立した際にも、新規にDWHサービスを迅速に立ち上げられます。EMEA(欧州、中東、アフリカ)地域で事業所の統合があった場合に、2つのDWHを1つに統合することも容易です。

DWHのクラウド利用事例

DWHのプライベート・クラウド化を開始している例として、米Zions Bancorporationの事例や、米Fox Interactive Media傘下の米MySpace.comの事例があります。

米Zions Bancorporationでは、データ・モデリングを削減し、これまでデータ・ソースごとに分散していたシステム/データをDWHに統合しました。各ユーザーにサンドボックスを提供し、それぞれのPC上に分散していたデータもDWHに統合することに成功しました。

米MySpace.comでは、データのモデリングを無くし、生データをそのままDWHに投入しています。各アナリストは、割り当てられたサンドボックスを活用してデータ分析の試行錯誤を行い、その結果をアナリスト間で共有しています。

米MySpace.comではまた、マーケティング・キャンペーンなどで一時的にDWHが必要になった際に、新規にDWHのサービスを追加してキャンペーン活動を迅速に開始できるようにしています。

最後に

従来はコストや性能の問題があったため、データのモデリングが重要であり、DWHに投入するデータの選別も必要でした。ところが、現在ではDWH製品の種類が増え、新たなDWH構築手法も登場するなど、企業データの一元管理/活用が容易になってきました。

こうした中、DWHのクラウド化は、エンタープライズDWHが抱えていた問題を解決する1つの方法になります。また、グローバル展開を視野に入れた企業では、リソースの共有や迅速なDWHの立ち上げといった点から、クラウド環境(仮想環境)の重要性がますます高まっています。

これで全4回の連載は終わりです。本連載で解説した製品ノウハウや構築ノウハウを、大規模化するDWHを効率よく構築/運用するためのヒントとして活用していただければ幸いです。

著者
TIS株式会社 サービス&コミュニケーション事業部 ソリューションチーム
戦略の高度化に向けたシステム支援を専門にしているチームです。我々はDWHやBIを使いビジネスロジックをいかに既存のビジネスに活かしていくか、営業の高度化におけるSFAや、ポイントカードに代表されるFSPなどとDWHやBIの連携により、お客様の営業支援に役立てられればと考えております。
03-5402-2086/sales3-info@mbgx.tis.co.jp

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