AzureのNoSQL実装のDocumentDB、世界規模でスケールする凄さを垣間見た
2017年4月11日、日本マイクロソフト社内で開催されたMeetupにおいて、マイクロソフトのパブリッククラウドであるAzureで稼働しているNoSQLサービス「DocumentDB」の紹介が行われた。このMeetupは「OSS on Azure 非公式コミュニティ」が主催したもので、その中のセッションの一つにマイクロソフト本社でDocumentDBを開発するグループのSyam Nair氏(Principal Director of Program Management, Microsoft R&D Data Group SQL & DocumentDB)が登壇し、世界規模でスケールするNoSQL、Azure DocumentDBを解説したというものだ。
まず簡単にDocumentDBについておさらいをしておこう。DocumentDBは、マイクロソフトが2015年に正式にサービスを開始したAzure上のNoSQLであり、マネージドサービスとしてグローバルに展開され、Azureの持つ34のリージョンで利用が可能だという。DocumentDBは、AWSにおけるDynamoDBや、Google Cloud ComputingであればCloud Datastoreと同じ位置づけの製品だ。データは全てSSD上に展開され、非常に高速で入出力が行えるという。
DocumentDBの特徴の一つに、NoSQLの分野で先行するオープンソースソフトウェアのMongoDBとの互換が挙げられる。MongoDB用に書かれたアプリケーションはそのままDocumentDBに移行できるということであり、実際にデモでも紹介されたものだ。つまり、PoC(Proof of Concept)として自社サーバー上ではMongoDBでテストを行い、グローバルにロールアウトする際にAzure DocumentDBにそのまま移行するという方法が選べるということだ。
ここでは事例の一つとして「Walking Dead」というゲームが紹介された。
この例のように、グローバルで展開するゲームなどのアプリケーションからのアクセスを高速に実行できるという部分では、実際にスループットの上限を管理ポータルから変更し、テストアプリからの読み込みのレイテンシーが徐々に下がっていくデモを行い、グローバルに展開されているインスタンスからの応答が高速に処理できることを示した。
またNair氏との質疑応答では、DocumentDBはそのインフラとなるAzureの開発チームとも密接に協力しており、インフラであるAzureの信頼性、高可用性を十分に活用しているという。DocumentDB単体の開発チームは80名足らずだが、Azureチームと一緒に開発を行うことで99.99%の可用性と高いSLAを実現していると語っていた。
またMeetupの前半ではDocumentDBの入門やPHPからDocumentDBを利用するコマンドラインツールの紹介などが行われ、コミュニティが徐々に立ち上がっていることが感じられた。
Meetupの前にはマイクロソフトのパートナー向けの説明会なども行われたようなので、今後、大手のシステムインテグレーターなどからもDocumentDBのユースケースが出てくるだろう。
ペタバイトクラスのデータを保持しつつ、世界規模で水平にスケールするJSONデータストアであるDocumentDBは上手く使えば、複製やデータリカバリーなどの管理要件からデータベース管理者を解き放つことが可能になる。またアプリケーション開発者にとっても、性能を向上させるための努力を他に向けられると言う意味で、クラウドコンピューティングの良い例になるのではないだろうか。今後の進化に期待したい。
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