要件を管理する

2010年4月13日(火)
岡崎 義明
アプリケーション開発を成功に導くには

ビジネス・リスクに応じてテストを最適化

(d)リスクに基付いてテスト戦略を立てる

HPQMはV字モデル開発をベスト・プラクティスとしていると言いましたが、V字モデル開発であっても、テストが開発の最後のフェーズで行われることには変わりありません。このため、いまだに多くの開発プロジェクトで「できるだけがんばりましょう」とか、「やれるところまでやりましょう」という、計画的とは言えないアプローチがとられています。

もちろん、重要度の高いテストを優先的に行うように心がけているプロジェクトは多くありますが、その場合でも、どこまでテストできるのかをあらかじめ予測することは困難です。予測ができなければ予定が立てられず、予定と実績の分析ができませんから、改善にもつながりません。

そこでHPQMでは、まずはビジネス要件のビジネス・リスクを評価し、個々のリスクに基付いてテスト戦略を立てることを推奨しています。このステップを簡単に説明すると、以下のようになります。

【ステップ1】 ビジネス・リスクを評価する

まず、「ビジネスへの影響」と「エラーを含んでいる確率」という2つのファクタ(要素)から、ユース・ケースのビジネス・リスクを評価します。

【ステップ2】 ビジネス・リスクに応じてテスト戦略を決定する

次に、ビジネス・リスクに応じてテストのやり方を決定します。例えば、ビジネス・リスクの高い要件(ユース・ケース)は、なにか変更が加えられた時には必ずすべてテストし直すようにする(このためのテストの自動化処理を、ある程度組み込んでおく)。一方、ビジネス・リスクの低い要件については、変更が正しく反映されているかどうかのみを確認する(確認は、ほとんどを手動で行う)。

【ステップ3】 テスト工数を決定する

最後に、各要件に割り当てるテスト工数を決定します。この決定にあたっては、新しいファクタとして各要件の「機能的な複雑さ」を考慮し、先に評価したビジネス・リスクと組み合わせて、決めていきます。

【ステップ4】 テスト時間を評価する

このように、各要件に関して工数を決定していくと、例えば「今回のプロジェクトでは、テスト工数が全部で200時間しかないのに、合計すると250時間になってしまう」というような予測を行い、実際にテストを行う前に、テスト戦略に関する見直しを行うことができます。

HPQMの実現をサポートするHP Quality Center

ここまでHPQMについて触れてきましたが、「HPの推奨するアプローチは難しくて、今のやり方をずいぶん変える必要がありそうだな」と感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、心配には及びません。HPでは、HPQMの実現をサポートするソフトウエアとして、「HP Quality Center software」(以下、QC)を提供しています。

QCは、要件管理と品質管理を単一のプラットフォームで実現するソフトウエアで、要件管理、テスト計画、テスト実行、不具合管理の機能を備えています。すべてのデータを共通のリポジトリで管理することにより、要件と要件、テスト、不具合を関連付けることができます。Webインタフェースを介して、分散開発やオフショア開発の場面で遠隔地のプロジェクト関係者が情報を共有できます。

さらに、QCは、各種の組み込みレポート、ドキュメント・ジェネレータ、Excelレポート機能を提供しているため、品質やテストに関する進ちょく、傾向、予実を管理することができます(図3)。次回は、視点を変えて、Web 2.0、とくにリッチ・インターネット・アプリケーションの負荷テストのあり方について解説します。

プログラマ、SEとして社会人スタートし、いくつかの外資系ソフトウェア会社を経て、2002年からソフトウェアのテストツールを販売するマーキュリー・インタラクティブ社に製品マーケティングとして入社。2007年、ヒューレット・パッカード社による買収にともない、日本HPへ。現在は、HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部で、テスト製品のマーケティングを担当。

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています