BlackBerryアプリ開発の要点

2010年5月25日(火)
長澤 信也

サーバーへの接続形態は3つ

BlackBerryは、ネットワーク・サービスや各種サーバーと連動して稼働します。端末からサーバーへの通信形態は、大きく3つに分類できます。セキュリティ上の理由から、BESを経由しない通信をすべて禁止するアクセス制御も可能です。

1. 端末から直接接続
一般的なスマートフォンやPCによるネットワーク接続と同様です。端末が接続しているネットワークを使って直接通信します。接続先のサーバーでは、端末のIPアドレスから接続されているように見えます。公衆無線LAN、3G携帯電話回線などの環境で利用可能です。
2. BES経由での接続
端末からいったんインターネット上にあるBlackBerryインフラストラクチャに入り、 社内LAN上にあるBESを経由してアクセスします。BES側のアクセス制御により、ユーザーに応じて接続先ホストを限定するといった細かい制御も可能です。
3. BIS経由での接続
端末からいったんサービス事業者のネットワーク上にあるBlackBerryインフラストラクチャに入り、同施設内にあるBIS(BlackBerry Internet Service)を経由してアクセスします。

これら3つの通信形態で利用する接続プロトコルは、HTTP/HTTPSが一般的です。これに加えて、TCPやUDPの任意のSocket通信が可能です。必要に応じてTCP/IPベースのプロトコルを開発できます。

接続方式はURLで使い分けることができます。

例えば、端末ローカルのJavaプログラムによってWeb上の画像イメージを通信回線経由(指定しているAPNは、NTTドコモのmopera U)で取得する場合、JavaプログラムのConnectorクラスのopenメソッドに渡す引数として、以下のものを指定します。

http:(画像のURL);deviceside=true;apn=mpr.ex-pkt.net

WiFi接続時の直接接続であれば、以下のものを指定します。

http:(画像のURL);deviceside=true;interface=WiFi

BES接続の場合、特別なオプションは必要ありません。

BIS接続時のパラメータは、BlackBerry APIリファレンスには記載していません。BISを経由した通信の場合、APIはRIMのアライアンス・パートナ企業に限って伝えています。

最後に

これまで、全3回にわたり、BlackBerryの仕組みや開発手法を解説してきました。また、RIMからは、BlackBerryの導入時やアプリケーション開発時に参考になるように、各種の技術資料を公開しています。

BlackBerryは、ネットワークやシステム構成が複雑に感じられるかも知れませんが、これは、他のスマートフォンの多くが端末側で多くの機能を実現しているのに対し、BlackBerryでは端末と専用サーバーのように各層に処理を分散して実装していることに起因します。

こうした分散処理は、通信料の削減やバッテリの節約、端末の使い勝手、モバイルのセキュリティ・リスクを最小限にするために採用しています。BESの導入後は多数の端末を展開するのも非常に簡単であり、IT管理コストを削減できます。

今後も、BlackBerryは、端末や管理サーバーなど、多方面での機能拡張を続けていきます。企業内個人向けに個人視点での使い勝手を高めていくほか、システム開発視点では、セキュリティを強化しつつ、よりイントラネットの利用を拡張しやすくなる機能を提供していきます。

1998年以降、IBM Lotusブランド製品のサポート・技術支援に携わる。現在はResearch In Motion Japanにて、テクニカルアカウントマネージャーとして、BlackBerry Enterprise Solutionの企業導入における営業支援を行っている。

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