HTML5でクロスプラットフォーム開発を実現する4つのツール

2012年6月12日(火)
安田 陽

1.クロスプラットフォーム開発ツールに関する世界的な調査

これまで2回にわたり、スマートフォンやタブレット向けアプリケーション開発スタイルの今後を考えてみました。前回までの結論をまとめると、以下の2つになります。

ネイティブアプリからWeアプリへの移行

端末プラットフォームの拡大や、開発にかかるコストとスピードをかんがみると、「今のPCに劣らないハイスペックデバイス」「HTML5」「高速な4Gネットワーク」「パワフルなクラウドコンピューティング」といった環境が十分に整えば、スマートフォンやタブレットへのアプリケーション提供の形はネイティブベースからWebベースへと移行するのではないか。

過渡期となる現在の有効な開発スタイル

ただし、それらの環境がまだ整っていないこの過渡期においては、将来のHTML5普及によるWebアプリケーション主流の姿を見据えつつ、“HTML5でコーディングしたWebアプリケーションをネイティブ化する”というスタイルを選択する方法もある。

以上のことを踏まえて、今回では、

HTML5を使い、Webアプリケーションとネイティブアプリケーションの双方に対応できるクロスプラットフォーム開発ツール

をいくつか取り上げたいと思いますが、その前にひとつの興味深い調査結果をご紹介しましょう。それは、英国VisionMobile社が6ヶ月の期間をかけて、世界91カ国、約2,400人の開発者に対してクロスプラットフォーム開発ツールに関する調査を行い、今年2月に発表したものです。

図1:「Cross-Platform Developer tools 2012」では、クロスプラットフォーム開発ツールについて世界中の約2400人の開発者を対象に調査した結果が99ページというボリュームでまとめられている。PDFでダウンロード可

このレポートでは、既に100以上あると言われるクロスプラットフォーム開発ツールについて、非常に細かな調査、分析、考察がなされているのですが、その中に「現在使われているクロスプラットフォーム開発ツールのトップ10」というリストがあります。早速見てみましょう。

1位:PhoneGap
2位:Sencha Touch
3位:Mono
4位:Appcelerator
5位:Adobe Flex
6位:Unity 3
7位:Corona
8位:appMobi
9位:RunRev
10位:MoSync

皆さんがご存じの開発ツールもあると思いますが、この中にはまだ日本であまり知られていないものも少なからずあります。

またこれらのうち、HTML5/JavaScript/CSSというオープンなWebの技術で開発し、スマートフォン向けWebアプリケーションとネイティブアプリケーションの双方にスムーズに展開できるものは、1位の「PhoneGap」、2位の「Sencha Touch」、8位の「appMobi」の3つとなります。

また、「これから使おうと考えているクロスプラットフォーム開発ツールのトップ10」については以下の調査結果となっています。

1位:PhoneGap
2位:Mono
3位:Unity
4位:Appcelerator
5位:Sencha Touch/jQTouch
6位:Corona
7位:RunRev
8位:MoSync
9位:Adobe Flex
10位:appMobi

こちらでも同じく「PhoneGap」「Sencha Touch」「appMobi」がランクインしています。また、日本の開発会社によって提供されている同様のものとして「Monaca」というサービスもありますので、以下ではこれら4つのツールについてそれぞれの特徴を見てみたいと思います。

株式会社レキサス

2000年にレキサス入社後、開発部、営業部、社長室を経て現在マーケティングチームに所属。2009年2月にリリースした音楽系iPhoneアプリがランキング2位に。現在は沖縄と東京、シリコンバレーを行き来しながら新ネタを日々妄想中。
ツイッターはこちら > @yoyasuda

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています