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品質を定量的に把握するテンプレート

2008年10月30日(木)
山口 智也

標準化のすすめ

 本稿の「DUNGEON」テンプレートは即活用可能であり、皆さんのプロジェクトの生産性向上に役立てられると思います。しかし筆者としてはそれだけにとどまらず、これを機に皆さんの現場で、標準化を進めてほしいという思いを強く持っています。なぜならそこで得たノウハウが皆さんの資産になるからです。したがって、最後にドキュメントの標準化の進め方をまとめることにしましょう。大まかな手順と注意点を図3に示します。

 まず現時点での組織内に共通する課題を的確にとらえることです。その課題を解決するためにドキュメントの標準化が適切か、どのフェーズに適用すべきか、改善ポイントは何かを考えた上でドキュメントを作成しましょう。次に実施時には、検討・作成時のコンセプトを利用者にきちんと説明し、納得を得ることが大切です。

 本稿では、第1回(http://www.thinkit.co.jp/article/140/1/)と第2回(http://www.thinkit.co.jp/article/140/2/)で上流工程を、第3回(http://www.thinkit.co.jp/article/140/3/)と第4回(http://www.thinkit.co.jp/article/140/4/)および今回でテストフェーズを取り上げてきました。システム開発のさまざまな工程の中で、上流工程とテストフェーズを重視したのは、手法が属人的になりがちで、成功と失敗が担当者によって左右されやすく、ここを抑えれば全プロジェクトの底上げにつながると判断したからです。

 そして、これらを重点的に改善していった結果、見えてきたのは「トレーサビリティの確保」「シンプルにわかりやすく伝える」「運用ルールも標準化する」「定量的に判断する」といった、どのフェーズにも通用する共通のポイントでした。これらの課題と改善のポイントを共有することが、標準フォーマットを定着させる上で重要なのです。

標準化のサイクルを回す

 また、おろそかにされがちですが導入後も随時チェックする仕組みが必要です。せっかく作っても、次第に使わなくなったのではもったいないですね。なぜ使えなかったか、使うためにはどこを変えればよいか、原因と対策を考えます。場合によってはフォーマットではなく運用ルールが明確でないことが原因かもしれません。

 弊社でもチェックを実施しています。導入当初は「標準テンプレート使用報告書」を用いて、各プロジェクトでの使用後にフィードバックするよう義務付けていました。しかし次第に、各プロジェクトリーダーたちが、テンプレートや運用ルールをプロジェクト実施時に、より使いやすく変更し、その結果を理由とともに披露してくれるようになりました。「標準化」という改善活動を通じて、彼らが自分たちで創意工夫する自主性がなければ、プロジェクトは成功しないと気づき始めたからでしょう。

 図3のとおり、標準化も結局はPDCAです。このサイクルの確立をしてこそ継続的な効果が得られるのです。そして、こういった改善活動のサイクルは一度回り始めると、おのずと組織内メンバの課題意識、課題解決能力、品質意識、コスト意識、自主性などによい影響を及ぼします。車輪と一緒で回り始めると加速していくものです。小さな車輪からでも構いませんので、ぜひ標準化のサイクルを回し始めてみてください。

 本稿では設計ドキュメントを中心に標準化ドキュメントを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?このほかにも弊社ではプロジェクト管理で用いる「7つのチェックシート」も標準化しています。またこれらのノウハウとPMBOKの管理体系を統合したプロジェクト管理パッケージも製品化してリリースを予定しています。これらも機会があればまた紹介し、業界全体の生産性向上に役立てればと思います。ではその日まで。

株式会社システムインテグレータ
国産WebERPパッケージ「GRANDIT」の開発に参画。ファーストバージョンリリース後、経験を生かして多数のERP導入プロジェクトを担当。カスタマイズ開発案件のプロジェクトマネジメントやERP導入コンサルとして活躍中。生の顧客要望を製品に反映する改善活動にも尽力している。http://www.sint.co.jp/

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