連載 [第5回] :
即活用!業務システムの開発ドキュメント標準化詳細設計書(後半)
2005年8月15日(月)
機能設計書のドキュメント体系
これまでに、表紙、目次/概要、I/O関連図、画面/帳票レイアウト、項目説明書について説明してきました。今回は残りのドキュメントについて説明し、詳細設計フェーズのドキュメント編を完了します。詳細設計フェーズのアウトプットの1つである「機能設計書」を構成するドキュメント構成は、表1のとおりです。
ドキュメント | 用途・内容 | 基本 設計 |
詳細 設計 |
機能設計書 | 機能別の設計書 | ○ | ○ |
(表紙) | ○ | ○ | |
(目次/概要) | ○ | ||
(I/O関連図) | データと機能の関係を図示 | ○ | |
(画面レイアウト) | 画面イメージ | ○ | |
(帳票レイアウト) | 帳票イメージ | ○ | |
(フローチャート) | バッチ処理のフローチャート | ○ | |
(項目説明書) | 画面/帳票の項目説明 | ○ | |
(イベント一覧) | 画面操作で発生するイベントの一覧 | ○ | |
(BL一覧) | 機能に含まれるBL(ビジネスロジック)の一覧 | ○ | |
(更新仕様書) | 機能またはBL単位の更新・処理内容を記述 | ○ | |
(補足説明書) | 上記の記述に対する補足説明 | ○ |
イベント一覧
現在使われているの画面システムは、イベントドリブン(駆動)型のアプリケーションが主流です。イベントドリブンとは、画面のロード(呼び出し)やボタンのクリックなど、画面操作イベントをきっかけに処理が実行されるしくみを言います。アプリケーションは、プラットホームにより次のように3つの世代があります。
- 第1世代
- 汎用機、オフコン
- 第2世代
- クライアント/サーバ
- 第3世代
- Webアプリケーション
第1世代では画面単位で処理が行われていました。これは画面上の社員コードや商品コードなど複数項目に入力した状態で、「実行ボタン」を押してはじめて社員名や商品名、単価などが取得され画面上に表示されるしくみとなります。
第2世代とともに登場したイベントドリブン機能により、項目単位で処理が行われるようになりました。例えば社員コードを入力した場合、即座に社員名が取得され画面上に表示されます。コードの誤入力などがあっても、すぐにエラー表示されるのでユーザビリティが高い技法として広く普及しました。
第3世代のWebアプリケーションは、普通に作成すると第1世代と同じく画面単位の処理となります。しかし、ASP.NETのポストバック機能などのようにWebでもイベントドリブン処理を実現できる機能が用意され、イベントドリブン型のWebアプリケーションが増えてきています。
イベントドリブン型アプリケーションの処理内容は、イベント単位に記述しなければなりません。DUNGEONでは、このようなイベントドリブン型の画面アプリケーションに対応したフォーマットとして、図1のような「イベント一覧」を用意しています。
左欄にはその画面で発生するイベント、中欄にはイベント発生時の処理内容、右欄にはイベントから呼び出されるBL(ビジネスロジック)を記述します。例えば図1の4行目を見ると、「検索ボタン.クリック」というイベント発生時に、BL「プロスペクト検索」が実行されるという処理が記述されています。
最近のアプリケーションは、MVCアーキテクチャで作成されることが多くなっています。これは画面対話型のアプリケーションを、処理(M:Model)、表示(V:View)、入力処理(C:Control)の3つのパートから構成させるものです。例えばJavaベースのアプリケーションでは、処理がJavaBeans、表示がJSP、入力がServletという構成になります。
DUNGEONのフォーマットも、MVCアーキテクチャに対応したものになっています。処理を行うビジネスロジック(BL)と表示(HTMLやJSPなど)と入力処理(イベント)を分離し、表示部分は直接データを処理しない構造です。前回説明した「画面レイアウト」「項目説明書」は表示部分の定義、「イベント一覧」は入力処理の定義を記述する役割となります。
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