連載 [第8回] :
即活用!業務システムの開発ドキュメント標準化要求仕様書の標準化プロセス
2005年11月9日(水)
ソフトウェアライフサイクルプロセス(SLCP)とDUNGEON
「DUNGEON」はソフトウェア開発の各工程において必要とするドキュメント標準を決めて、その具体的なテンプレートを用意したものです。概念的なアプローチとはまったく逆に、アウトプット側から開発プロセスを標準化するという実践的な考え方を重視しています。
これまで7回にわたって、基本設計から詳細設計、プログラミング、単体テスト、結合テスト、総合テストという流れに沿って、各プロセスで必要とするドキュメントの標準化を説明してきました。最終回の今回は、その前段のプロセスである要求分析フェーズのアウトプットについて説明します。
みなさんはSLCPという言葉を知っていますか。SLCPとはSoftware Life Cycle Processの略で、ソフトウェアの開発ライフサイクル、つまりこれまで解説してきた基本設計から総合テストまでの開発工程を指す言葉です。SLCPの代表的なものは30年前に提唱されたウォーターフォールモデルですが、近年ではプロトタイプモデルやスパイラルモデルなども登場し、これらをミックスして採択しているケースもあります。
SLCPは標準化も進められており、国際的には1995年にISO/IEC12207という標準プロセスが作成されました。日本でもこれをもとに「JIS X 0160」という標準プロセスが作られました。そして、ソフトウェア開発における一連のライフサイクルプロセスを可視化し、共通の枠組みを規定した「共通フレーム98 SLCP-JCF98」が策定されています。
図1にSLCP-JCF98体系を示します。共通フレームは主ライフサイクルプロセスと支援ライフサイクルプロセス、組織に関するライフサイクルプロセス、システム監査プロセス、修正プロセスという5つの観点から構成されています。弊社のドキュメント標準化「DUNGEON」は、この中からエンジニアリングの視点として体系化されている「開発プロセス」の部分をベースにしています。SLCP-JCF98はそのままだと開発現場で使うことは難しいので、DUNGEONはこれを具体的かつ実践的な手法としました。
要求分析
システム開発において、「うちの会社は上流工程に強い」というように「上流工程」と「下流工程」という言葉がよく使われます。これまで説明してきた内容では基本設計と詳細設計が上流工程、プログラミングおよび単体テスト、結合テスト、総合テストが下流工程になります。そして、基本設計の前段には要求分析というプロセスがあります。今回はこの要求分析フェーズにおいて、どのような行いからどのようなアウトプットが作成されるのかを見ていきましょう。
SLCP-JCF98の主ライフサイクルプロセス
SLCP-JCF98の主ライフサイクルプロセスは、図2のように6つのプロセスから構成されています。これを見ると、システム開発のプロセスは大きく「企画プロセス」と「開発プロセス」から構成されていることがわかります。上流工程をこの企画プロセスからはじまるものとすると、上流工程の範囲はかなり広いです。
一口に要求分析といっても経営に関する要件、業務的な要件、システム要件、ソフトウェアの機能要件などがあり、求められる結果の種類も異なっています。DUNGEONでは「顧客の要求を把握してシステム要件を確定する」という観点からこれらの要件を1つにまとめ、要求分析書のテンプレートを作成しています。
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