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連載 [第11回] :
  月刊Linux Foundationウォッチ

9/27開催「Open Source Summit」をはじめ、リアルイベントでのプロトコルを発表。11月までのKubeCon + CloudNativeConなどにも適用、ほか

2021年8月31日(火)
吉田 行男

こんにちは、吉田です。今回は、Linux Foundationが発表した3つの話題について、紹介していきます。

ワクチン+マスクで安全な対面イベントを
– 必読:オンサイト セーフティ プロトコル

8月4日、The Linux Foundation(以下、LF)は、9月27日から開催する「Open Source Summit」をはじめ、対面で再開するイベントでのプロトコルを発表しました。このプロトコルは、2021年11月までのLFイベントとLFプロジェクト イベント(KubeCon + CloudNativeConなど)に適用されます。

【参照リリース】ワクチン+マスクで安全な対面イベントを– 必読:オンサイト セーフティ プロトコル
https://www.linuxfoundation.jp/blog/2021/08/vaccines-masks-for-safe-in-person-events-read-about-all-on-site-safety-protocols/

LFは、COVID-19の感染拡大を受け、1年以上にわたってイベントをオンラインのみで開催してきましたが、Linuxコミュニティメンバーの強い要望もあり、CDC(米国疾病予防管理センター)、WHO、およびPHE/NHS(英国)といった保健機関や地方自治体、会場やベンダーと連携し、対面イベントの再開に向けて検討を重ねてきました。

対面イベントの参加者には、以下の対応が必要になります。

  • COVID-19ウイルスのワクチン接種を完了。ワクチンの接種状況の確認には、ワクチン確認アプリを使用
  • マスクの着用
  • 毎日の体温チェック
  • 会場に用意されたコンフォート レベル リストバンド(緑、黄、赤)を使い、各自が快適に感じるソーシャル ディスタンスのレベルを示す

また、会場では、以下の対策がとられる予定です。

  • 会議室の収容人数の削減
  • 講演者ー参加者間の物理的スペースの拡大
  • イベント スペースの通路の拡大
  • 展示ホールにおけるスポンサー ブースの分離拡大と通路の拡大
  • 飲食やマスク休憩のためのソーシャル ディスタンス エリアの設置
  • 会場との緊密な連携(会場の全タッチ ポイントの徹底的な清掃および消毒、必要に応じてくしゃみ防止ボードの設置、および消毒スタンドなどの確保)

なお、LFのイベント チーム全員が、パンデミック オンサイト プロトコルの取り扱いについて「Event Leadership Institute」の認定を受けています。また、イベントの安全プロトコルや手順を処理するために、ワクチン接種とトレーニングを受け、装備を整えており、来場者が会場で快適に過ごせるようお手伝いします。

Facebook、Google、Isovalent、Microsoft、Netflixが
Linux Foundationの一部としてeBPF Foundationを設立

8月12日、LFはeBPF Foundation発足したことを発表しました。設立メンバーには、Facebook、Google、Isovalent、Microsoft、Netflixが名を連ねています。

【参照リリース】Facebook, Google, Isovalent, Microsoft and Netflix Launch eBPF Foundation as Part of the Linux Foundation
https://www.linuxfoundation.org/press-release/facebook-google-isovalent-microsoft-and-netflix-launch-ebpf-foundation-as-part-of-the-linux-foundation/

Berkeley Packet Filter(BPF)は、tcpdumpでの使用で最もよく知られている、ネットワークパケットをフィルタリングするための専用仮想マシンとして開発されました。時が経ち、このBPFを拡張したeBPF(extended Berkeley Packet Filter)は、カーネル全体にフックを持つ、カーネル内部で動作する仮想マシンになりました。

このeBPFを使用することで、開発者がオペレーティングシステムのカーネルを含むあらゆるソフトウェアに安全かつ効率的にプログラムを組み込むことを可能にしました。その結果、eBPFは、幅広いインフラのユースケースを実現するための手法として急速に普及し、大幅な効率化と性能向上を実現するとともに、システムの複雑さを劇的に軽減しています。

例えば、FacebookはeBPFをデータセンターの主要なSoftware-Defined Load Balancerとして使用しています。また、GoogleはCiliumを使用して、eBPFベースのネットワーキング技術とセキュリティ機能をマネージドKubernetesの「GKE」と「Anthos」に導入しています。

「eBPFは、リスクや費用のかかるカーネルコードの変更なしに、OSの動作をリアルタイムに変更できる画期的な技術です。eBPFは、ネットワーキングからセキュリティ、コンテナ化まで、あらゆることを迅速に反復する我々の能力に著しい影響を与えています」と、eBPFの共同開発者兼メンテナであり、Facebookのカーネル開発者であるAlexei Starovoitovは述べています。

eBPFは、OSやインフラサービスの設計方法を変えることになります。カーネル空間とユーザー空間の境界を橋渡しすることで、従来は完全に独立していた複数のサブシステムのロジックを組み合わせて適用することも可能にします。これにより、ネットワーキング、セキュリティ、アプリケーションのプロファイリング/トレーシング、システムのオブザーバビリティなどで、イノベーションを促進できます。

「eBPFは、オペレーティングシステムに対する考え方を再定義し、ネットワーキング、セキュリティ、オブザーバビリティにおける革新の大波をもたらしました。クラウドネイティブな世界に深く関連しているため、eBPFの採用は信じられないほどの速さで加速しています」と、eBPFの共同開発者兼メンテナであり、発足メンバーであるIsovalent社のカーネル開発者であるDaniel Borkmannは述べています。

OSカーネルをプログラマブルにすることで、インフラストラクチャソフトウェアは既存のレイヤを活用し、システムに複雑なレイヤを追加し続けることなく、よりインテリジェントでスケーラブル、かつ豊富な機能を実現できます。eBPFは、ネットワーク、セキュリティ、アプリケーションのプロファイリング/トレース、パフォーマンスのトラブルシューティングなどの分野で、既存のカーネル機能に依存することなく、実行効率や安全性を損なうことなくランタイムの動作を積極的に再プログラムする、全く新しい世代のツールの開発につながりました。

eBPF Foundationは、eBPFの強力な機能を拡張するために行われている重要なレベルの貢献を拡大し、Linuxを超えて成長していきます。eBPF Foundationは、オープンソースのeBPFプロジェクトや技術の拠点となり、eBPFエコシステムの成長と普及を促進するために、サミットやその他のコラボレーションイベントなどの様々な活動を通じてコミュニティを育成することになります。

「eBPFは、Linuxコミュニティで起きているイノベーションの最も素晴らしい例の1つであり、我々がホストするのが当然の技術を網羅しています。eBPFは、Linuxコミュニティで起きている革新的な事例の1つであり、我々がホストするのに適した技術を網羅しています。また、オペレーティングシステムとマイクロサービスの提供の未来を象徴しています」と、Linux Foundationのプロジェクト担当ジェネラルマネージャー兼シニアバイスプレジデントのMike Dolan氏は述べています。また、「我々は、eBPF財団とコミュニティの活動をサポートすることを楽しみにしています」とも述べています。

EdgeX Foundry、最も近代的で安全、かつ生産可能な
オープンソースIoTフレームワークをリリース

8月3日、LF内のLF Edge傘下のプロジェクトであるEdgeX Foundryは、「Ireland」リリースを発表しました。このリリースは、EdgeX Foundryの2回目のメジャーリリースで、全体では8回目のリリースとなります。今回のリリースでは、エッジ/IoTソリューションに焦点を当て、APIセットの見直し、技術的負債の除去、メッセージベースの通信の増加、採用者と開発者のためのインターフェースの簡素化と安全性の確保を行い、プラットフォームを大幅に使いやすく、信頼性の高いものにしています。

【参照リリース】FEdgeX Foundry Releases the Most Modern, Secure, and Production-Ready Open Source IoT Framework
https://www.lfedge.org/2021/08/03/edgex-foundry-releases-the-most-modern-secure-and-production-ready-open-source-iot-framework/

Irelandの機能の特徴は、下記のとおりです。

  • 標準化・近代化されたノースバウンドとサウスバウンドのAPIが、IoTフレームワークでの相互運用性を豊かにする
  • EdgeXのAPI、メッセージバス、内部アーキテクチャには高度なセキュリティが組み込まれている
  • Irelandに含まれる新しいデバイスサービス(サウスバウンド)と新しいアプリサービス(ノースバウンド)も本質的に安全(例:GPIO、CoAP、LLRP、UART)

また、商品化・ユースケースにあたっての特徴は、下記のとおりです。

  • Open Retail Reference Architecture(ORRA):エッジベースのソリューションやIoTデバイスに共通の導入プラットフォームを提供する新しいサブプロジェクト。ORRAはLFエッジの仲間であるOpen HorizonおよびSecure Device Onboardとの共同プロジェクトで、EdgeX Foundryによってインキュベートされている
  • 新しいEdgeX Readyプログラムは、EdgeXを活用したソリューションと自社製品を統合したユーザーや組織に焦点を当てており、コミュニティ認定プログラムの先駆けとなるもの

EdgeXの次のリリース(コードネーム「Jakarta」)の計画は、2021年の第4四半期に予定されています。

今回は、2021年8月に発表された、LFの3つの取り組みについて紹介しました。来月(9月)からは、対面でのイベントも再開するようです。COVID-19の感染拡大によりさまざまな影響を受けた方たちの生活が少しでも戻ることを祈りながら、今回は終わりたいと思います。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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