連載 [第4回] :
  DevOps完全ガイド 2022

本格化するデジタルトランスフォーメーション(DX) プロ仕様のローコード開発プラットフォーム 「OutSystems」でDevOpsをもっと高速に

2022年7月21日(木)
阿島 哲夫

DevOpsの採用によって、ソフトウェアのリリースと改善のスピードを高めることが可能になる。ただし、コーディング主体の開発スタイルを維持していては、さらなる生産性の向上は望めない。そこで必要とされるのがローコード開発のソリューションだ。そのソリューションのプロバイダーとして2001年から市場を牽引し、世界22業種/数千社の顧客企業を擁しているのがOutSystems(アウトシステムズ)社だ。同社の日本法人OutSystemsジャパンのキーパーソンに、ローコード開発プラットフォーム「OutSystems」がDevOpsにもたらすインパクトについて聞いた。

小規模から大規模まで多様な業務システムの
ローコード開発を実現

ローコード開発とは、コーディングをほとんど行わず、ビジュアルなソフトウェア部品の組み合わせを中心にソフトウェア(アプリケーション、サービス)を完成させていく手法を指している。この手法を採用する大きなメリットは、コーディング一辺倒でソフトウェアを開発するのに比べて工期が大幅に短縮できる点にある。その意味で、アジャイル開発やDevOpsによってソフトウェアの生産性を高めようとする開発者にとって、ローコード開発は採用して然るべき手法といえる。

ただし、現行のローコード開発には問題がある。それは、ローコード開発を支援するツール(以下、ローコード開発ツール)の多くがプロの開発者ではなく、コーディング(=プログラミング)の知識をほとんど持たない一般的なビジネスパーソンによる使用を前提に設計され、大規模で複雑なシステムへの適用が困難なことだ。

この問題点について、OutSystemsジャパンのシニアソリューションアーキテクト、阿島哲夫氏は次のように指摘する。

「今日のローコード開発ツールのほとんどは、オフィス業務を効率化する単純構造のシステムしか作れません。そのため、企業における大規模システムの開発では、いまだにコーディング主体の開発が行われ、多大な時間とコストが費やされているのが一般的です」

このような状況を打破するソリューションとして数多くの企業・開発者が活用しているのがローコードアプリケーションプラットフォーム「OutSystems」である。

同製品は、小規模なスマートフォンアプリや業務改善ツールから、工場の生産管理システムといった大規模な基幹業務システムに至るまで、多様なソフトウェアの開発に対応した開発プラットフォームだ。開発の全プロセスをわかりやすく可視化し、ほとんどコーディングを行うことなく、高効率・短期間でのソフトウェア開発を可能にする。また、ビルド、テスト、デプロイのCI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デリバリ)にも対応しており、DevOpsでの活用も広がっている。

開発のプロがOutSystemsを選ぶ理由

OutSystemsは、開発現場におけるDevOps体制の構築に向けて、開発から運用までの各段階を可視化して柔軟にローコード開発ができる機能を提供している(図参照)。

OutSystemsの主な機能特長

OutSystemsの主な機能特長

OutSystemsは開発工程を可視化することで、DevOpsのサイクルをスムーズに回す効果をもたらす

OutSystemsを使った開発では、独自の「ビジュアルモデリング言語」を用い、UI(ユーザーインタフェース)やビジネスロジック、開発プロセス、データなどを可視化して簡単に定義・編集することができる。

特殊性の高い開発が必要とされる場合にはコーディングによるカスタマイズも可能としているほか、開発者が慣れ親しんできたコーディング主体の開発工程を崩さないかたちでローコード開発による生産性向上が図れるという特長も有している。

「一般的なローコード開発ツールとは異なり、OutSystemsは『プロ仕様』の開発プラットフォームです。開発上の制約はほとんどなく、どんなに複雑なシステムでも設計から開発までをビジュアルに、かつ高効率に進められます」(阿島氏)

また、OutSystemsで組み立てたソフトウェアは、ソースコードへと自動で変換され、ワンクリックでビルド、テスト、デプロイが行える。つまり、DevOpsのCI/CDパイプラインを形成することができるわけだ。加えて、OutSystemsにはソフトウェア品質の検査機能が備えられており、開発したソフトウェアにセキュリティやパフォーマンス上の問題がないかどうか調べることもできる。運用面でもソフトウェアのバージョン管理が行えたり、ユーザーからのフィードバックを取得する仕組みが簡単に実装できたりと、DevOpsによるソフトウェアのリリース、改善のサイクルを効率化する機能を包括的に提供している。

「DevOps環境は、一般的に複数のツールの組み合わせによって構成されていますが、OutSystemsではDevOpsの各プロセスをサポートする機能がオールインワンのかたちで提供されています。これにより、DevOps環境のメンテナンスと運用管理の手間を大きく低減できます」(阿島氏)。

OutSystemsのDevOps機能は多彩な外部ツールとのAPI連携も実現している。JenkinsやAzure DevOpsといった既存のCI/CDパイプライン管理ツールからOutSystems上のアプリケーションをビルドし、テストし、デプロイするといった使い方もできる。

さらにもう一つ、OutSystemsはそのサービス料金体系にも開発者支援のコンセプトが流れている。同製品の料金体系は、サービスの使用量に応じた課金ではなく基本料金+ユーザーライセンス(=開発されたソフトウェアの利用者数に応じたライセンス)+アプリケーションの規模(DBテーブル数や画面数など)をベースとし、スケールアップやスケールアウト、ストレージ追加によりサービス基盤のキャパシティを増強したとしても、それによって追加の費用が発生することもない。つまり、サーバー稼働時間やデータ量を気にすることなく利用できるのである。

「OutSystemsの場合、開発を幾度行っても料金は変わらず、サービスコストの上昇を気にせずに開発の“トライ&エラー”も繰り返せます。これはDevOpsのスタイルにフィットした料金体系といえ、お客さまからも好評です」(阿島氏)

国内の大手企業でもサービス導入が加速

OutSystemsは2001年にポルトガルで産声を上げ、今日(2022年5月時点)では日本を含む87カ国でサービスを展開している。国内の導入企業も増えつつあり、ある大手自動車メーカーでは社内システムの標準開発プラットフォームとしてOutSystemsを採用し、生産管理や出荷管理、販売管理といった基幹業務システムの改革と社内業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)に役立てている。また、ある種苗会社では情報システム部門にOutSystems専門の担当者を配置し、年間30~50本ほどのソフトウェアをスピーディに開発し、業務改善に向けた従業員の多様なニーズに対応している。このほか、大手の製薬会社や建築資材メーカーなど、業種を問わずにOutSystemsの活用が進んでいる。

一方、海外では航空会社が運航計画システムに用いたり、大手金融機関がオンラインバンキングの送金システムに活用したりするなど、ミッションクリティカルなソフトウェアの開発・運用にOutSystemsが使われる例も豊富だ。

「DXの潮流の中で日本企業の間でもソフトウェアを内製し、生産性を向上させようとする動きが活発化しています。実際、今日では従来のようなスピード感でソフトウェアを開発していては、市場の目まぐるしい変化に追随していくことは難しくなっています。OutSystemsは、まさにその問題解決に有効なローコードのソリューションであり、すでに多くのお客さまが、OutSystemsを活用し、ソフトウェアのリリース、フィードバック、改善のスピードを上げています。OutSystemsなら、DevOpsのスピードを増し、お客さまのDXを強力に後押しできると言い切れます」(阿島氏)

https://www.outsystems.com/ja-jp/
Email:japan@outsystems.com
TEL:03-4400-2695

OutSystemsジャパン株式会社 シニアソリューションアーキテクト

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