使いやすい食器洗い機のモデル
食器洗い機を拡張しよう
「第3回:キッチンから学ぶUMLの勘所」では「Dishwasher」という1つのクラスを作成し、状態マシン図を用いてその振る舞いを定義してきました。今回はそのクラスをベースに、操作パネル(FrontPanel)と駆動モーター(Motor)を加えた/意識した食器洗い機システムを作成したいと思います。
早速、食器洗い機システムの構造を拡張するため、クラス図に変更を加えたいと思います。図1(左上)に拡張したクラス図を示します。ここでは食器洗い機の操作を容易に行わせるために、「FrontPanel」を追加しました。このFrontPanelは、今後の機能拡張も見込んで、本体であるDishwasherとは別のクラスにしたいと思います。
FrontPanelからDishwasherを操作するために、それらの関係を方向付き関連で結びました。これでFrontPanelからDishwasherの各機能を呼び出すことができます。次にDishwasherは駆動モーターで動作しますので、その仕組みを表したいと思います。Dishwasher1つにつき、Motorを1つ内蔵することにします。Dishwasherは1つの「Motor」を含みますので、その関係を方向付き集約を使って表現しました。
FrontPanelの振る舞いを定義
FrontPanelにも状態マシン図を使って、振る舞いを定義します。図1(右上)に示すように常に状態はidle状態とし、ユーザがFrontPanelにあるボタンを押された場合、「evKeyPress」イベントが発生することにします。イベントの処理は、操作「processKey(params->key)」で行うこととします。
内部処理では、ユーザが押したキーの情報は操作の引数として渡されます。状態マシン図の「params->key」と図1(下)の「aKey」は同一のものです。aKeyには、0~xまでの数字が入力されます。
0~4の範囲のいずれかを入力された場合、それぞれのキーに割り当てたDishwasherの機能を呼び出すために、Dishwasherに対してイベントを送ります。1つ例を挙げますと、オブジェクト「itsDishwasher」に対して、evStartのイベントを送信した場合、「Telelogic Rhapsody」では、「itsDishwasher->GEN(evStart)」と書きます。先のparams、GENマクロ、オブジェクト(itsDishwasher)と表現するのは、固有の表現になります。