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SBVA法の今後の展開と関連研究

2008年4月30日(水)
中鉢 欣秀

SBVA Editorとは?

 これまで4回にわたって筆者らが研究をしているSBVA法について紹介してきた。最終回となる今回は、SBVA法の現状と今後の展開について述べる。併せて、関連する研究についても触れたい。

 第3回と第4回で解説した通り、SBVA法を構成する分析プロセスは単純である。自然言語によるシナリオと図解を用いた可視化を基本としており、非IT技術者でも取り組める手法となるよう工夫している。しかしながら、現状では解決すべきいくつかの課題がある。

 1つの問題は、SBVA法で規模の大きな業務を分析する場合、業務手順書や図解の作図・編集のためにかかる手間である。業務の作業手順をステップごとにシナリオとして記述するのには、それなりの作業量が必要である。また、作成したシナリオの名詞と動詞の要素をアイコンで画面上に配置する作業についても、シナリオの量が多くなればなるほど大変になる。現状でもVisioやPowerPointといった作図ツールを部分的に利用できるものの、基本的に分析はすべて手作業になる。

 そこで、自然言語で記述したシナリオを図解化し、グラフィカルに編集作業を行うことができる支援環境が必要となる。現在、SBVA法を支援するソフトウェアであるSBVA Editor(仮称)を設計中である。ここでは、SBVA Editorが備えるべき基本的な機能についてそのアイデアを解説していこう。

SBVA Editorの機能

 図1に、SBVA Editorの画面イメージを示す。画面は大きく3つに分かれている。それぞれ、分析する業務のシナリオである「業務手順書」を入力するためのエディタ、シナリオの名詞要素と動詞要素、およびそれらの関連からなる「業務鳥瞰図」をビジュアルに編集できるエディタ、また各種の「詳細情報」を編集するエディタである。

 初めに、業務手順書エディタの機能について述べる。SBVA法の業務手順書では、「~は、~に~を~する」といった簡単な構文で手順を記述する。このような構造を備える文章を入力するために、専用のシナリオエディタがあると良い。大量のシナリオを、SBVA法で規定する構文に沿って入力することを容易にすることが目的である。

 もう1つの大事な機能は、複数の業務手順書を取り扱いやすくすることだ。SBVA法では、分岐や繰り返しといったアルゴリズムを記述するための論理構造を用いないため、通常の作業手順を記述したシナリオと、例外的な作業手順を記述したシナリオとは別々に取り扱うことになる。これらについてはSBVAエディタの機能を用いて統合する。また、大規模な業務を分析するためには、業務における異なるシチュエーションを記述したシナリオをまとめて管理する機能も必要だ。

 次に、業務鳥瞰図エディタの機能を紹介する。業務鳥瞰図エディタの基本的な機能は画面に名詞要素と動詞要素を配置して、それらの関係をアイコンで図解化することである。この作業も手作業で実施すると大変なので、分析者が入力したシナリオに含まれる語句を解析して、初期の業務鳥瞰図を自動的に作成できるようにすることを検討している。

 また、業務鳥瞰図全体をスクロールやズームさせることもできるようにする。その際、ズーム機能については、1つのモデルをさまざまな粒度で眺められるような機能があると、分析作業に役立つのではないかと考えている。

 最後に、詳細情報エディタについてである。詳細情報は、分析者が分析作業を行うときに参考になる各種情報を入力・表示できるようにしたい。例えば、シナリオに出てくる名詞要素についてのコメントなどである。さらに、写真や画像などをリンクさせ、それらを表示させるようなことを検討している。

 以上の通り、SBVA Editorが備える各種機能により、SBVA法を容易に実施できる支援環境を開発することが目下の目標である。

産業技術大学院大学
産業技術大学院大学(AIIT)准教授。2004年、慶應義塾大学大学院にて博士(政策・メディア)号取得後、JST研究員を経て現職。ソフトウェア工学(上流工程、ソフトウェアアーキテクチャなど)に関する研究に従事。社会人学生を対象とし、プロジェクト型教育(PBL)によるソフトウェア開発プロセスの教育などを実践。http://aiit.ac.jp/

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