人間を描くのはむずかしい?

いろいろなポーズをホネのホネで描く
いろいろな人が描けて面白くなってきているところですが、直立したものばかりでは物足りませんね。図3と筆者が実際に描いてみたサンプルの動画(http://tedia.jp/movie/item.php?id=k9lhO14UCcM)を見ながら、はいろいろなポーズに挑戦していきましょう。
ホネは全身がつながっていて、どこかが動くと連動してほかも動きます。右肩を上げると左肩が下がりますし、逆に左の腰が少し上がります。首は上げた腕の方に傾きます(ぜひやってみてください!)。片足を上げると体全体が傾きますが、実は腰が逆に傾いていて、腕も広がってバランスをとろうとします。これらは体が自然に重心を保とうとしている現れです(図3-1)。
体がどういう単位で、どうねじれているかを観察してください。特に初めのうちは正しい動きを知ることが大事ですから、自分で描きたいポーズをとって重心の動きを確認してみたり、誰かにポーズをとってもらって、ホネのホネでスケッチしてみたりしましょう。写真を見てスケッチしてみてもいいですね。
この時、スカートをはいている女性は足の形が見えなくて少し難しいかもしれません。パンツスタイルの人物を参考にすると描きやすいでしょう(ヌードデッサンはこういった体の流れを理解するためにあるのです)(図3-2)。
ホネのホネのスケッチで体のねじれ方や重心の位置を把握できたら、先ほどと同じように肉付けをしていきましょう。
まっすぐ立っている人とは違い、前後の奥行きが生まれることもありますから、少し難しいかもしれません。そんな時は関節の位置に気をつけて描いていくことが重要です。それでも手前と奥の表現はなかなか一度でうまく描けないものですから、何度も描いたり消したり試行錯誤します。一生懸命描いた線はその努力がそのまま出ます。がんばりましょう!
いろいろな人を描く
人を描くことが楽しくなってきたら、その人はどんな人かを考えながら描くと、そこにもっとリアリティーが生まれます。
ここで言う「リアル」は、写実的なリアルさではなくて、設定のリアルさです。男性か女性か、大人か子供かはもちろんですが、頑固そうだとか、優しそうだとか、声が大きいとか、おしゃれが大好きだろうとか、描こうとしている人の性格についても考えてあげましょう。あなたの周りの人をこっそりモデルにしてしまっても面白いですね。
その人はどんな表情で何をしているかも考えます。手を動かしているうちにだんだんイメージがわいてくることもあります(図3-3)。
きっちり描けなくても、こう描きたいという思いはじんわり絵に現れて、「ああ、こういう人いるよね」という人物のイラストが完成するはずです。思ったのと違う人が描けてしまってもそれもまた良しです。どうぞいろいろ実験してみてください。
もし、複数の人が登場するならば、その人たちをどう絡ませるかは大事な演出になります。この時あなたは監督になるわけです。どんなところで、何をさせたら面白いか、あなたなりの着目点が表せたら、それはただ人物のらくがきではなくて、立派なイラストになっていると思います。
人の形を分析したら、それほど難しくないことがわかってきました。次のステップとして、その人のいる状況、つまり背景を描いてあげるとさらに絵が膨らみます。というわけで、次回はいよいよ建物を描いていきます。どうぞお楽しみに。