Webデザイナーはイラストが描けて当然?
楽しくのんびり描くために、ウォーミングアップ
Webデザインの中でイラストをスパイスとして使う機会は多いと思います。そのイラストを自分で描けたらすてきですよね。
筆者は、イラスト(絵)を描くことが不得意なWebデザイナーは意外と多いという話を聞いたことがあります。「私は絵が描けないから」と思い込んでいる方でも、子供のころはそんなことは関係なく手を動かしていたはずです。
「絵を描いてみたい」と思ったなら、ぜひ描いてみるべきです。上手、下手はさほど問題ではありません。楽しく描けたかどうかが重要です。もし楽しく描くことができたら、それはきっと人にも伝わります。そして、そんな愛のあるイラストがデザインの中にプラスされたら、とても説得力があるはずです。
とはいえ、どう手を動かしたらいいのか、白い紙を前に不安になってしまうこともあるではないかと思います。本連載ではさまざまな絵の基本を紹介していきます。ルールがわかれば心強いはず。まずはらくがきから、気軽に楽しくのんびりと、イラストを描いていきましょう。
まずは、手に「描くもの」を持ちましょう。まだらくがきですから何でもかまいません。私は鉛筆が大好きですが、さっきまで書類を書いていたボールペンやシャープペンシル、カラフルなマーカー、目についたものを手に取ってみてください。この「テキトウ」な感じが肩の力を抜いてくれるのです。
次に、空中で素振りをしてみましょう。縦に振ったり、横に振ったり、丸を描いたり、この時、無意識に、上から下へ、左から右へ(左利きの方は右から左へ)、時計と逆回りへ(左利きの方は時計回りへ)手を動かしていませんか。これが自然な手の動きです。
いざ絵を描く時に、手と脳みそに力が入りすぎてしまうと、これと反対の動きをしてしまい、線がヨロヨロガチガチしてしまいます。右手と右足を同時に出してしまう感覚です。自然に手を動かすことは、楽に描くための大切な要素の1つですから、忘れない様にしましょう。
いよいよ紙の登場です。とはいっても、要らない書類の裏でかまいません。けい線のついたノートでも全く問題ありません。もちろん、スケッチブックやクロッキー帳があれば使ってみてください。大切なのは、描きながら自分にあった紙の質感を発見することです。ザラザラ派か、ツルツル派か、たくさん描くうちに、自分の好みがはっきりしてくるはずです。
まずはらくがきから。シンプルな線と形で描く
いよいよ実際に描いてみます。図1と筆者が実際に描いてみたサンプルの動画(http://tedia.jp/movie/item.php?id=mrdq08lWgJI)を見ながら、まずはいろんな線を描いてみましょう。
グルグル手を回します。何だか煙っぽいですね。ギザギザを描いてみます。何だかのこぎりの刃の様です。点々と点を打ってみます。雨のように見えませんか。もう何かが描けています(図1-1)。
それでは、よりかっこよく、大きく、または繊細に、グルグルやギザギザを描いてください。どんどん手の余計な力がとれて、どんどん上手になるはずです。これ以外にも、ぐにゃぐにゃや、シュッシュッ、じわじわ等、あなたが考えた「かっこいい線」をどんどん描いていきましょう。
「こんな単純な線だけでは物足りない」ちょっとそんな風に感じて来ませんか。さっきまで「絵が描けない」と思っていたはずなのに、今は「もうちょっと描きたい」気持ちになっているのではないでしょうか。
それでは早速、先ほどのグルグルの煙の根元に、焦げた魚を描いてみましょう。ギザギザにはのこぎりの柄を、点々の上の方に雨雲、下の方には、カサやカタツムリを描いてみましょう。
「いきなりコゲ魚!?」と、びっくりしなくても大丈夫です(図1-2)。
実は世の中のほとんどのものは、丸/三角/四角などのシンプルな形の組み合わせで描けてしまいます。丸や四角等の単純な形だけで絵を描くことを業界用語(何業界?)で「丸チョンで描く」と言います。でも、このプリミティブな形の組み合わせでとてもすてきなイラストを描く作家さんもいますので、私はこの方法が大好きです。
例えば、魚は楕円(だえん)と三角で描くことができます。バツを重ねると「焦げ」が表せます。また、雨雲は実は先ほどのグルグル(丸の連続)で描けてしまうし、のこぎりは四角、カサは半円、カタツムリは楕円(だえん)と丸から描けてしまいます。人によって選ぶ形が違ってくるでしょう。でもそれは個性なので何の問題もありません。
身の回りのものを丸/三角/四角の形で見る練習をしてみましょう。複雑な形でなかなか難しい時は、目を細めて見ます。細かいディティールが見えなくなって、大まかな形だけが浮かんでくるはずです。これを描けばいいのです。いかにシンプルな形でかっこよく表現するか、何だかゲームの様に思えてきませんか。
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