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チームによるアジャイルの事例

2009年4月10日(金)
倉貫 義人

チームを1つにする「ふりかえり」

 アジャイル開発の場合、1週間や2週間という単位でリリースを繰り返しながら開発を進めます。その繰り返しの終わりごとに「ふりかえり」と呼ばれる打ち合わせを実施していました。「ふりかえり」とは、その繰り返しの間に、どういったことが起こり、良かったことは何か、悪かった点は何か、そして、改善するとしたらどうするのか、と言った形でチーム全員で共有する会のことです。

 やり方はいろいろな方法がありますが、筆者のチームでは「KPT」と呼ばれる方法をアレンジして行っていました。ホワイトボード上を2本の縦線で3分割し、左端にKeep(よかったこと)、右端にProblem(悪かったこと)を、1人ずつ書き出して全員で共有した後、中央のTry(改善すること)を全員で考えるというものです。ホワイトボードを縦に3分割すると、記入する際に少なくとも一度に2人が同時に書けるので、効率的です。

 この「ふりかえり」の効果は、繰り返しの1週間や2週間でたまった、個人の得たノウハウや、もしくは逆に悩みなどを、1人のものではなく、チーム全員のものにすることができ、それによって、より生産性をあげたり、止まっている進ちょくを進めることができたりすることです。繰り返しの中で行うので、頻繁に行われます。

 よくプロジェクトの終了時に反省会を行いますが、それとは違い、プロジェクトの途中で実施するということは、良くない点の方向転換などができるということです。傷口も浅いうちに手を打つことで、大けがにならないように対処できる訳です。

 ふりかえりを実施する際の懸念は、全員が発言できるかどうか、という点です。どうしても、マネジャーやリーダーが場をしきりそうになってしまいますが、それによってパワーバランスが働いて、発言できない人が出てくる可能性があります。そこで、参加者のうちの誰かを進行役に任命して仕切らせるなどをして、なるべく全員の発言を引き出す工夫をしていく必要があります。

 このように、場を進めて発言を引き出す役割のことをファシリテーターと呼びます。チームに、マネジャーやリーダーとは別にファシリテータがいると、いろいろと物事がスムーズに進みます。

社内システムの開発におけるアジャイル開発の適用

 社内システムにおいては、顧客はスポンサーである自社の経営陣であり、エンドユーザーは自社の社員になります。この関係の中で、うまく顧客の意図をくみ取り、ユーザーのニーズを吸い上げることが、成功のポイントになります。時には、意見が対立することもありますし、むちゃと思える要求が出ることもあります。そうすると、必ずしも全員の希望や要望を満たしたサービスを提供できない場合も出てきます。

 システムの開発と完成だけを目的としてしまうと、Win-Loseの関係になってしまいがちですが、本来はシステムを作ることは目的ではなく、システムを導入してどうしたかったかが目的だったはずです。その点を共有することで、対立関係を解消することができます。関係者とのミッションの共有が重要になります。

★アジャイルの価値観(その2)
 「契約上の交渉」よりも「顧客との協調」を重視する
 (そのために、「関係者とのミッションの共有」を実施すべし)

 次回は、SKIPをオープンソース化した後の段階で、社内システムをオープンソースとして公開するまでに至った経緯のほか、ITツールを活用したアジャイル開発について紹介する予定です。

TIS株式会社 SonicGarden

TIS株式会社にて、クラウドを中心とした新規事業を行うための「SonicGarden」を立ち上げ、代表カンパニー長をつとめる。また、2009年まで日本XPユーザグループの代表をつとめるなどアジャイルの普及を行ってきた。主な著作:バグがないプログラムのつくり方(2004,翔泳社)など。
Twitter:@kuranuki(http://twitter.com/kuranuki
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