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新人のアジャイル開発体験

2010年9月9日(木)
西口 直樹

(1) 今回の事例: 社内の情報共有!SNS構築

第1回では、アジャイル・ブームの再来について、日本にXP(eXtreme Programming)が伝わり、それがどのように広がり、ブームとなったのかを紹介しました。今回からは、3回にわたって、筆者がかかわった事例を中心に、生のアジャイル開発の現場を紹介します。今回の事例は、「社内SNSの構築」です。

新人でもあり、開発が始まっているプロジェクトに途中から参加した筆者。そんな筆者が、プロジェクトの状況や開発しているシステム、開発の流れを理解できたのは、アジャイル開発では自然と行える「情報共有」があったからです。「情報共有」を通して、アジャイル開発を学ぶこともできました。

以下では、どうやってチーム内で「情報共有」を行っていたのかを伝えます。まずは、今回の事例で取り組んでいた「社内SNS」について、簡単に説明します。

筆者が所属するTISには、常々、以下のような課題がありました。

  • 部門間を越えたコミュニケーションを行うのが難しく、個人が情報を社内全体に発信できる場が無い
  • 有益な技術情報がプロジェクトごとに点在していて、技術的課題の解決に時間がかかる

これらの課題を解決するため、「コミュニケーションの促進」と「ナレッジの共有」を目的として、「サービス提供者である開発チームと、実際に利用するTIS社員とが、一緒にサービスを育てていく」という考えのもと、「社内SNS」の開発・展開を開始しました。

プロジェクトの開始当時には、筆者はTISに在籍していませんでした。こういった背景もあり、顧客からのフィードバックを基にシステムを作っていく"アジャイルな開発手法"が採用されたのではないか、と推測されます。

現在、この社内SNS「SKIP」は、オープン・ソースとして公開されています。当時の上司でありPM(プロジェクト・マネージャ)兼チーフ・プログラマでもあった倉貫義人が代表のTIS社内ベンチャー「SonicGarden」により、SaaS事業としても展開しています。詳しくは、コチラを御覧ください。

図1: SKIPのスクリーン・ショット(クリックで拡大)

(2) 初めての社会人/初めてのプロジェクト

2006年、世の中は、コンテンツ提供者だけが情報を発信する時代から、「Web2.0」というキーワードに象徴される、個人個人誰もがブログ・サービスやSNS(mixiやGREEなど)で情報を発信する時代へと変わりつつありました。こうした中、筆者は新入社員としてTISに入社し、プロジェクトのメンバーになりました。

筆者が配属された当時、プロジェクトのメンバーは5人で、XPが日本に上陸した当初からアジャイル開発を実践していた倉貫(プロジェクト・マネージャ)を中心に、XPによる開発を行なっていました。

当時は、SNSソフトのSKIPを社内システムとして開発していた最中であり、会社内でも公認ではなく、試作的なサービスという位置付けでした。

以下は、筆者が所属していた期間の、プロジェクトの概要です。

表1: プロジェクトの概要

項目 内容
参加期間 2006年10月~2008年3月
人数 5~10人
エンドユーザー TIS社員(誰でも可能)
ビジネス・オーナー プロジェクト・マネージャ

新社会人になり、すでに開発されているプロジェクトに配属された時、一番最初に戸惑うのは、「何も分からない自分」という状態に対してではないでしょうか。経験やスキルも無い自分に対して、あるいは、先輩は何をしているんだろう、開発ってどうやるんだろう、といった次々とわく疑問に直面して、悶々(もんもん)とすることもあると思います。

こうした戸惑いを解決する鍵となるのは、「チーム全体で情報を共有」(情報共有)することです。チームで「情報共有」する手段としては、メンバー間で「コミュニケーション」を取ったり、常に情報を見える状態にする「見える化」を行ったりするなど、多くの方法があります。

次のページからは、筆者と筆者のチームがどのように「情報共有」を行って仕事をしていたのかを、「計画の共有」、「進ちょくの共有」、「開発の共有」の3つに分けてお話します。

TIS株式会社

先端技術センター所属。Ruby好きなプログラマ。Ruby on Railsを利用したWebアプリケーション開発に従事。最近は、スマートフォンアプリの開発に取り組んでいる。スクラム・アライアンス認定スクラムマスター。
Twitter: http://twitter.com/nsgc

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