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NullObjectパターン

2009年5月7日(木)
鈴村 幸太郎

Log4Jに見るNullObjectパターン

 NullObjectパターンが実装されている例として、Log4Jの中のNullAppenderがあります。Log4Jは有名なロギングのフレームワークで、ログの出力方法を切り替えるためにAppenderクラスを用います。

 Log4Jでは、Appenderインターフェースを実装した、AppenderSkeletonというアブストラクトクラスがあり、各Appenderクラスは、AppenderSkeletonを継承して作られています。例えば、WriterAppenderは、ストリーム系へ出力するためのAppenderクラスで、AppenderSkeletonを継承しています。これは、ログを出力する処理を切り替えるためにStrategyパターンが適用されていると言えます。

 同様に、NullAppenderもAppenderSkeletonを継承していますが、動作に必要なactivateOptions、addFilterなどのメソッドの中では何もしていません。結果として、NullAppenderを使った場合はログを出さないということになります。例えば、ログを出したくない場合に、設定ファイルがないと警告が出ますが、NullAppenderを設定しておけば警告なしでログを出さない状態にできます(*2)。

(*2)しかし、実際はNullAppenderが利用されることはあまりなかったようで、Log4J1.3からはNullAppenderは削除されています。

 このようにNullObjectパターンは、何もしないケースをほかのケースと同様に扱えるというメリットがあります。

パターンの組み合わせ

 NullAppenderの実装を見てみると、getInstance()メソッドでは、staticなフィールドinstanceにセットされたインスタンスを返すようになっており、Singletonパターンになっています。NullAppenderは状態を持つ必要がないので、余分なインスタンスを作らないようにしているわけです。

 ここまで、Log4Jというロギングフレームワークの中で、NullObjectパターンとそのほかの複数のパターンが組み合わされて使われている例を見ていきました。最初に説明したように、フレームワークの中にはデザインパターンが含まれているということがわかると思います。

【参考文献】
Erich Gamma(原著), Ralph Johnson(原著), Richard Helm(原著), John Vlissides(原著), 本位田 真一(翻訳), 吉田 和樹(翻訳)

「オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン」改訂版 ソフトバンククリエイティブ(発行年:1999)

Mark Grand(著),原 潔(翻訳),瀬尾 明志(翻訳),宮本 道夫(翻訳)「UMLを使ったJavaデザインパターン―再利用可能なプログラミング設計集」カットシステム(発行年:2000)

株式会社クラウズ
(株)クラウズ 取締役・CKO(Chief Knowledge Officer) 技術士(情報工学)大手シンクタンクでシステム開発や技術支援を経験し、現在はIT教育トレーナーや、技術支援のITコンサルタントとしても活動中。得意分野はオブジェクト指向やWebシステム、データベースなど。

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