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Amazonは世界一の失敗をする企業だ

2016年4月19日(火)
ReadWrite Japan

Amazonとの競い合い、特にAWSと争うことは厳しいものだ。このクラウドコンピューテ
ィングの巨人は目まぐるしいペースでイノベーションを送り出し続けており、第二位と収
入において何十億ドルもの差をつけている。そしてこの企業にとって、失敗は日常茶飯事
だ。

だがAmazonのCEO ジェフ・ベゾスに言わせれば、他社はまだまだ失敗が足りていないとのことだ。

彼はアマゾンの株主に向けた年次書簡において、「Amazonは世界一の失敗をする企業であ
る」と言い放ち、失敗を糧として、去年はクラウドで73億ドルの収入を上げる成功に至っ
たその社風を誇った。またAmazonは来年の収入を約100億ドルと予測している。

Amazon logotype printed on cardboard box

Amazon - 世界一の失敗をする企業

Amazonには他の企業と似たようなところもあるが、他とは明らかに異なるところもある。
それの最たるものとは、Bezosによれば失敗を尊ぶという点だ。

「我々が他より際立っているところは失敗についてだと思う。我々は世界一失敗している
企業であるし、実例を挙げるとキリがない。失敗と発明は切っても切り離せないものだ。
発明の為には実験が必要だが、何が正解かやる前から分かっているようなものなど実験と
は言わない。大企業の多くは発明をありがたがるが、それを達成するために経験しなけれ
ばならない一連の失敗で苦しみたいとは考えない。」

失敗を受け入れ、時には喜ぶという心構えは重要なものだと彼は続ける。これらの失敗は
大きな見返りにつながる可能性があるからだ。

「大きな見返りとはしばしば従来の知恵の逆を行く事から得られるが、従来の知恵という
ものはたいてい正しいものだ。だがもし10%の確率で100倍の見返りがあるのだとすれば、
10回のうち9回が外れるとしても、その博打に賭けてみるべきだ。」

「フェンス越えの打球を狙いに行けばストライクを取られる率も上がる事は誰でも知って
いる。それでも何本かのホームランは出るわけだ。だが野球とビジネスの違うところは、
野球における見返りはある程度のところで頭打ちになる点だ。どんなに球を上手に打ち返
したとしても、それで得られる得点は4点どまり。だがビジネスでは登板の度に毎回1000
点を得る事も可能になる。この事があるから前に進む勇気を持つことは重要なのだ。そし
て大勝ちするプレイヤーは実験的な行為に多くをつぎ込む」

というわけでAWSは様々な実験をより早いペースで行っている。2015年にはAWSにS3
やEC2、Autoraなどの70以上のクラウドサービスに722もの特徴的な機能が追加された。
2014年と比べて40%の伸びだ。

だが彼らは何の考えも無く失敗しようとしているわけではない。

細分化するAmazon

ジェフ・ベゾスによれば、「AWSで作られるものの90-95%は顧客の要求によるものだ」と
いう。重要な点は、顧客の利益の為ににそれらを作るため、Amazonはイノベーションを細
分化できる形で行っている点だ。

「Amazonは一つの事だけに携わる小さなチームの集まりで出来ており、その為に急速イ
ノベーションが可能になっている」とBezosは述べている。これらのチームは互いのコミ
ュニケーションを数年前から強制されている「公開されたAPI」を通じて行っている。

 ー全てのチームはサービスインターフェイスを通じてその機能やデータを公開しなければならない

 -チームのコミュニケーションはインターフェイスを通じて行われる

 -インターフェイスを通じたもの以外のあらゆるプロセス間通信は許可されない。
  直接的にリンクする事、他のチームのデータを直接見ること、共有メモリモデルによる
  コミュニケーション、バックドアその他の手段すべてに対してこれは適用される。
  唯一許可されるコミュニケーションは、ネットワーク越しにインターフェイスを叩くことのみである。

 -どの様なテクノロジーを使っていたとしてもこのルールは変わらない。

 -どの様なサービスインターフェイスも例外なく公開されることを前提に根底から
  デザインされなければならない。つまりチームはインターフェイスを開発者に
  公開できるようプラン、設計を行わなければならない。例外は認められない。

そしてこれらを選択肢の1つだと考えているAmazonの従業員たちに対し、
ベゾスはこう締めくくっている。
「これを守れない社員はクビにする。では今日もいい日を」

ベゾスは何を作るのか

AWSやKindleはプレスで取り上げられることが多いが、Amazonの顧客に対するより興味深い
取り組みの一つにIoT分野がある。Amazonは開発者サイド、消費者サイドの両方からこれに取り組んでいる。

開発者サイドからの取り組みとしてはAmazonが去年の10月に発表したAWS
IoTPlatformが挙げられる。これは「管理されたプラットフォームであり、コネクテッドデ
バイス同士を安全かつ簡単に接続し、クラウドアプリケーションやその他のデバイスと連
動できるもの」との事だ。AWSとの親和性も自然と良く、開発者はインフラを利用して簡
単にIoTアプリケーションを作ることが出来る方法を得ることになる。

Amazonはまた音声操作が可能で将来のホームオートメーションの中心になるであろう、
Amazon Echoについても開発者たちが興味を持ちそうなものをリリースしている。Echo
自体はコンシューマ向けだが、開発者たちにも門戸を開いており、これを使ったサービス
(例えばDominoピザに注文を入れるなど)の構築し、プラットフォームとしてのEchoの拡
張が可能となる

私がEchoを持っていた時、Amazonとそれを取り巻く開発者のエコシステムによってサー
ビスがだんだん改善されていくのを目の当たりにした。AmazonはEchoを鳴り物入りで送
り出したというわけでもなく、私自身、身内の家でEchoが音声による指事で買い物リスト
を更新しているのを見るまでこれのことを知らなかった。Echoは瞬く間に、家族生活の中
でのささやかながらも大事な一部となった。

無論、Amazonがまた、あの呪われてたとしか思えないようなFire Phoneの様なものを出
す可能性はある。だがそこがポイントだ。Amazonは大なり小なり様々な賭けに出ること
に前向きであり、失敗を悲劇と受け止めない。そうするなかで、Amazonは小売業、クラ
ウド、デバイスビジネスを大きく発展させてきたのだ。数ある失敗があったにも関わらず、
ではない。数ある失敗があったからこその話だ。

ReadWrite Japan
[原文]

※本ニュース記事はReadWrite Japanから提供を受けて配信しています。
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