Pepper(ペッパー)のライバル現る
ベルリンのCESとも呼ばれる IFA2107に先日訪れたが、そこではあるワードが常に飛び交っていた。”Alexa”である。多くの企業がAlexaに乗り込んでくるというのだから、Amazonにとってコンシューマハードウェア分野はいい時代だといえるだろう。
ここ数日でAmazonがAlexaと統合したスマートグラスを手がけていることが明らかになった。普通のメガネのような見た目だが骨伝導技術を使ってヘッドフォン無しでAlexaを使うことができる。またEchoと連動したカメラシステムについても同様だ。侵入者だけでなくAmazonの宅配もモニターできる。
関連記事:AmazonのAlexaが「普段使い」できるための一歩を踏み出したらしい
IFAカンファレンスでは多くの企業がAlexaを使った製品を手がけていることがわかった。それらを見てみよう。
完全ワイヤレスホンのBragiがAlexaと互換性のあるDashシリーズを作る
スマートヘッドフォンを手がけるBragiはThe Dashシリーズにより、Kickstarter企業ファンディングで300万ドル以上というヨーロッパ市場最高額に匹敵する投資を取り付けた企業だ。無線で音楽が聴けるだけでなく、携帯電話との連携無しで歩く速度や歩数、リズム、心拍、エネルギー消費を計測することができる。
FA2017ではそのヘッドフォンがAlexaに対応したことが発表された。完全にワイヤレスなヘッドフォンにAlexaが初めて使われたことになる。またAmazonのクラウドベース音声サービスがモバイルなハードウェアとの統合を果たした最初の例でもある。
Amazon Alexa部門のディレクター Jon Kirkは、「The Dashヘッドフォンを通じてAlexaをどこでも簡単に持ち歩くことができるようになった。ユーザーはこれで簡単にスマートホームを操作し、ニュースを聞き、2万を超えるAlexaのスキルにアクセスすることができる」と言っている。
Bragiの製品はAppleのSiriやGoogleアシスタントとも互換性があるが、Alexaによりスマートホーム、買い物、ホームエンターテイメントの新しい道が拓けることだろう。The DashでAlexaを使うユーザーはAmazon Music LibraryやAmazon Prime Music、Audible、TuneIn Radioなどのストリーミング番組にもアクセス出来る。
Amazon Alexaがヘルパーロボットの仕事を広げる
UBTECH RoboticsのAlpha 2とLynxはあなたに代わって家事を行うためのヒューマノイドである。写真やビデオの撮影、電話や留守電の確認、メールやメッセージの読み上げと送信、WiFiに対応した会社設備の操作などが行える。音声コマンドによるSNSへの書き込みも行え、関節を20箇所以上備えているためダンスもできる。Alpha 2はOpen APIやAndroid向けSDKの用意もあり、有為の開発者からのインプットにも前向きだ。
LynxはAlexaの機能を使える初のビデオに対応したヒューマノイドという意味で特筆すべきものだ。Amazonで直接買い物ができるだけでなく、監視カメラや施錠、温度調整などのスマートホームデバイスも直接操作できる。
Lynx: The First Video-Enabled Humanoid Robot with Amazon Alexa
別のロボティックス企業のQibanは同社初となる家庭用ロボット Sanbot Nanoでデビューを飾った。これはEcho Dotとセキュリティカメラを組み合わせたようなもので、家の見回りをしあなたに話しかけてくる。50あるセンサーのおかげで障害物にもぶつからず、音声や人相を認知する技術により部屋に入ってくる人を認識することができる。
残念なのはその価格だ。2800ドルほどだろうか。Alpha 2やLynxの倍以上である。
ほかに発表されたAmazonと提携している商品にスマート冷蔵庫カメラ Bosch 360°インドアカメラやEyes Outdoorカメラ、東芝の新製品のTVがある。
繋がるAlexaとCortana
AmazonとMicrosoftは日曜にAlexaとCortanaが互いに会話できるようになると発表した。
Alexaユーザーは会議予約や業務カレンダーへのアクセス、用事のリマインダー、メールの読み上げなど、Cortana特有の機能にアクセスすることができるようになる。また逆にCortanaユーザーがAmazonで買い物したり2万を超えるサードパーティー製のスキルにアクセスしたりできるようにもなる。
AmazonのCEO Jeff Bezosによるとこうだ。
「世界は広くて多様だ。互いが異なるデータや何かに特化したスキルにアクセスするようになり、成功するインテリジェント・エージェントは複数出てくることだろう。互いが己の強みを持って補い合い、ユーザーにより豊で役立つ体験を提供できるようになる。EchoユーザーがCortanaに簡単にアクセスできるようになるのは素晴らしいことだ」
ホームオートメーションとショッピングに強みを持つAlexaとCortanaのビジネスコミュニケーション能力が組み合わさることで、GoogleやSiriに対する有効打を打つことができるだけでなく、ボイスアシスタントの協業の利点も明らかにされるだろう。ところで後者の二社が同様の動きを見せるかどうかについてはまだ何も情報がない。Amazonは生活のあらゆるところに入り込もうと努力しているが、残りの3社も興味を示すと見ていいだろう。
CATE LAWRENCE
[原文4]
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- Amazonは失敗への挑戦をやめてしまうのか
- アマゾンのパワープレイ:AlexaがFire TVに。そして数多くの新デバイスが
- 【トレンドを抑える!】ミレニアル世代へのモバイルマーケティングの実態とは
- アマゾンはなぜApple TVとChromecastを締め出したのか
- Amazon Alexaが狙う「声」の次に集めたい情報とは
- Amazonが解説する次世代の対話インターフェース、Alexaの仕組み
- Meta、全社員の13%にあたる約1万1,000人をレイオフ
- フェイスブック、一体型VRHMD「Oculus Quest」にハンドトラッキング等アプデを発表
- GoogleやAppleを抑えて、スマートホーム市場を勝ち抜くAmazon Echo
- Amazonの今後の展開は? 音声アシスタント『Alexa』がより使いやすくアップデート