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| マイナスのインパクト | ||||||||||||
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しかし上記で説明したことが、将来に渡ってもプラスに作用し続けるとは限らない。まず、消費者との重要な接点をフロント型企業に握られてしまい、コントロールを失う可能性があるからだ。 例えば、広告チャネルか販売チャネルのどちらか一方を利用している分には、自社への接点を残すことができるが、広告チャネルも販売チャネルも任せるとなると、そのリスクは高まる。フロント型企業は多くの企業の商品やサービスを扱っているため、自社の商品やサービスはその中の1つとしてしか扱われない。 一方のフロント型企業は、より多くの情報より多くのアテンション機会をコントロールするために、広告から販売まで首尾一貫する方向へと進んでいる。 代表的な事例の1つに米英出版業界との確執がある。ことの発端は、Amazonが2003年10月に発表した「Search Inside Book」機能にはじまり、その後はGoogleからも「Google Book Search」が提供されている。これらには書籍の全文をプレビューする機能があり、これらを使う消費者は書籍を購入しなくなると心配されている。 出版業界自らが消費者との接点として大きな存在となっていれば、このような事態にはならなかったかもしれないが、広告・販売における消費者との接点として既に大きな存在となったAmazonやGoogleを消費者が利用しなくなることはない。つまりコントロールできないのだ。 また、Amazonが出版業に参入するとの噂もある。今後もフロント型企業がその圧倒的な消費者との接点を武器に、イネーブラ型企業のビジネス領域へもその手を広げる可能性は否定できない。 ソフトウェア業界ではその兆候が見えはじめている。既にGoogleは「Gmail」「Google Talk」などを提供し、さらにワープロソフトの「Writely」を買収して提供の準備を進めている。従来、これらはソフトウェアベンダーが有償で提供していた商品であるが、フロント型企業であるGoogleは、大量の情報や消費者のアテンションをコントロールするための道具として無償提供しようとしている。 第1回でも説明した通り、消費者のアテンションは有限である。そのため1日24時間の中でいかに多くのアテンション機会を作り(他から奪い)、より多くの情報を蓄積できるかが課題となる。これまでのアテンション機会は主として「検索」であったが、今後は検索以外のアテンション機会を増やす方向にある。 図2は1日の生活時間におけるインターネット利用時間をあらわしている。場所や時間を問わずインターネットが利用されている様子がわかるが、インターネットを利用していない時間もまだまだ多い。アテンション機会を増やす方向には、今までインターネットを使っていなかった時間をインターネットへ吸い上げることも含まれる。 ![]() 図2:生活時間におけるインターネット利用(生活者全体) 出所:総務省「平成16年版 情報通信白書」 (http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h16/index.html) |
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