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ビジネス展開におけるWeb 2.0 |
第1回:Web 2.0が意味する新しいトレンド
著者:野村総合研究所 堀 祐介 2006/3/24
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Webビジネスを展開する企業の役割変化
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まずはWeb1.0時代とWeb 2.0時代の企業の営みの違いを整理してみよう。Webの利用形態は様々であるが、ここではeコマースモデルを取り上げ、そのフェーズを便宜上次の4つに絞って解説する。
- 消費者を知る(リサーチ)
- 商品開発ならびに販売で優位に立つためには、デモグラフィック特性、サイコグラフィック特性、ジオグラフィック特性、行動特性、など「より多くの消費者」「消費者のより多くの特性」を知ることが重要となる。
- 消費者に商品を訴求する(広告・宣伝)
- 利益を最大化するためには、高い購買率を生み出す効果的な広告・宣伝が望ましい。自社商品を購入する見込み客を的確に絞り込む「広告・宣伝の最適化」が重要となる。
- 消費者に商品を勧める(接客)
- 購買行動に進んだ消費者に、消費者にあった商品を勧める中でクロスセル、アップセルにも誘導したい。
- 消費者に商品を販売する(成約)
表1:eコマースのWebの利用形態
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Web1.0時代の企業の営み
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まず、表1のプロセスをWeb 1.0(本連載ではWeb 2.0以前の状況をこのように表記する)における企業の営みにあてはめてみよう(図1)。すべての企業が表1のような営みとなるとは限らないが、メーカが消費者にアプローチを表1のフェーズに対応させると次のようになると考えられる。
図1:Web 1.0時代の企業の営み 出所:野村総合研究所 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
フェーズ |
実行する企業 |
消費者を知る |
マーケティング会社 |
消費者に商品を訴求する |
ポータルサイトや広告代理店 |
消費者に商品を勧める |
eコマースサイトまたはメーカ自ら開設した直販サイト |
消費者に商品を販売する |
表2:Web 1.0時代の企業の営み
この場合、各フェーズを担う企業が異なるため、各企業間の情報共有やメーカ内の組織の壁といった問題から、首尾一貫して個々の消費者に最適化されたアプローチを行うことは容易ではない。
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Web 2.0時代の企業の営み
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Web 2.0時代になると、Web 1.0時代の「マーケティング会社」「ポータルサイト・広告代理店」「eコマースサイト」の機能を1社で有するGoogleやAmazon.comといったフロント型企業があらわれた(図2)。
図2:Web 2.0時代の企業の営み 出所:野村総合研究所 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
これらの企業は、「消費者を知る」「消費者に商品を訴求する」「消費者に商品を勧める」「消費者に商品を販売する」といった各フェーズで得られた大量の情報を連携させ、首尾一貫して個々の消費者に最適化されたアプローチ(情報とアテンションのコントロール)をすることが可能となる。
商品やサービスを開発するイネーブラ型企業(メーカなど)はフロント型企業を媒介して消費者との取引を行う。
現在は大企業を中心に、フロント型とイネーブラ型の双方の機能をすべてまたは部分的に持ち合わせた企業が存在する。しかし今後はフロント型専業企業であるGoogleやAmazon.comの集客力が増すことで、独自の直販サイトを持たないイネーブラ型専業企業がでてくる可能性もある。
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著者プロフィール
株式会社野村総合研究所 技術調査室 研究員 堀 祐介
東北大学工学部通信工学科を卒業後、大手SIerにてオープンソースソフトウェアおよびテレコム関連技術の標準化活動に従事。2005年、野村総合研究所に入社。現在、情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。
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