|
||||||||||
| 前のページ 1 2 3 | ||||||||||
| シンクライアントシステムの利点 | ||||||||||
|
シンクライアントの利点としては、大きく2つあります。情報漏洩対策とTCO削減です。 |
||||||||||
| 情報漏洩対策 | ||||||||||
|
シンクライアントシステムは、クライアントソフトウェア(AIPクライアントなど)が端末側に実装されていれば、サーバ側にあるアプリケーションを利用してファイルの作成・保存ができます。よってクライアント側にはハードディスクがあってもよいし、無くてもよいのです。 そこでハードディスクを無くしてしまえば、端末を紛失してもデータを保存する場所が無いため、物としての端末からは情報漏洩しません。しかし、配慮しなければならない重要な点があります。それはウイルス(ワーム)などによって端末を経由してサーバ側から情報が漏洩することです。 クライアントソフトウェアをインストールするためには、インストールする場所やそれを管理するソフトウェアが必要となります。そのため一般的には、コンパクトフラッシュメモリやディスクオンメモリに、Windows CEやWindows XP EmbeddedなどのOSを搭載します。 しかしこれらのOSにウイルスが感染して、シンクライアント端末自体に伝染し、その端末からサーバに接続した途端にサーバ側にあるファイルを第三者に転送してしまうことがあるのです。 すでにこのようなウイルス感染の事例があり、ATMや電話端末などのサービスが止まりました。このような感染を防ぐためにマイクロソフト社からはパッチも提供されています。また従来のPCであれば、対策ソフトによるウイルス除去やOSの再インストールなどの方法で対処することができます。 しかしPCベンダーから提供されるシンクライアント端末には、書き込み不能なコンパクトフラッシュメモリなどが使われており、Windows XP Embeddedがあらかじめインストールしてあります。そのためユーザはウイルス感染したシンクライアント端末からウイルスを除去できず、ベンダーにセンドバックしてサポートしてもらうしかないのです。 逆にウイルスに感染しないためには、ウイルスが侵入する場所であるメモリや組み込みOSをなくせばよいといえます。現在、市場に提供されているウイルスの感染リスクがないシンクライアントは唯一サン・マイクロシステムズ社のSun Rayシステムだけです。なぜならSun Ray端末には組み込みOSやメモリ、CPUが搭載されていないからです。 |
||||||||||
|
本末転倒!? あるユーザの話ですが、端末紛失による情報漏洩対策のために、20万円弱で購入した既存のPCに追加費用を払ってハードディスクを取り除き、USBインターフェースが使用できないようにデバイスドライバを無効にして、さらにシンクライアントにするためのクライアントソフトウェアをインストールするインストーラを開発するという対応をしたそうで。 まるでカーナビが標準搭載されている車から、お金をかけてまでカーナビを取り去るようなもので、本末転倒な対応といえるでしょう(情報漏洩対策だけを迅速に取り組むためには現実的かもしれませんが)。 また、多くのPCベンダーはハードディスクが無いPCを製造・販売しています。私があるPCベンダーに「ハードディスクが無いのになぜ価格が下がらないのか?」と聞いたところ、「ハードディスクの部品が無くなっても、取り付けない作業あるいは取り除く作業が追加されるので、最終的なコストはそれほど変わらない」といっていました。これもまた本末転倒な話のように思えたのを覚えています。 |
||||||||||
|
|
||||||||||
| TCO削減 | ||||||||||
|
第1回でも触れましたが、シンクライアントシステムの当初のメッセージはTCO(Total Cost of Ownership)の削減でした。確かに論理的にはシンクライアントシステムはファットクライアントシステムに比べてTCOは削減できます。ただし、TCOは測りにくい(見えにくい)のです。 例えばPCを朝一番で全社員が起動する時間、ちょっとしたトラブルに情報システム部門が取られる時間、ソフトウェアやOSのバージョンアップ作業のコストなどを費用として計測するのは非常に困難です。 あるユーザの例では、5,000台のWindows 2000をWindows XPに切り替えるときに、毎月約400台(毎週末100台)のPCに対して作業しました。この作業を1年間やり続けてやっとPCのバージョンアップが完了します。同じペースで1万台あれば2年、半分のペースであれば2年かかります(実際にはリモート操作など、もっと工夫して行われていますが)。 また多くの組織では、ユーザ個人が圧縮解凍ソフトやファイル転送ソフトなどのユーティリティソフトなどをインストールすることが多くあります。こういったソフトウェアがトラブルを発生させ、結局はITリテラシーの高い人や情報システム部門がヘルプすることになります。このこと自体に費用がかかっているのです。 シンクライアントシステムであってもTCOはかかりますが、少なくとも端末でのトラブルはほとんどなくなります。トラブルもサーバ側で発生するので、管理ポイントが集約されることや利用できるソフトウェアを管理することができるので、結果としてTCOを削減することが可能になるのです。 さて次回は、様々あるシンクライアントシステムの方式の比較をしていきましょう。 |
||||||||||
|
前のページ 1 2 3 |
||||||||||
|
|
||||||||||
|
|
||||||||||
|
||||||||||
|
|
||||||||||
|
||||||||||
|
|
||||||||||
|
||||||||||

