第3回:品質管理は製造業のアキレス腱!情報活用で迅速化・効率化を目指す (1/3)

Enterprise Materialized Information
意思決定の迅速化!見える化・見せる化ソリューション

第3回:品質管理は製造業のアキレス腱!情報活用で迅速化・効率化を目指す

著者:日本アイ・ビー・エム  小澤 充明   2007/1/18
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製造業における品質管理の現状

   数年前に発覚した自動車メーカーのリコール隠しは、まだ記憶に新しいだろう。この事件は自動車メーカーが数年にわたるリコール隠しに加え、多重の虚偽報告をしたことにより、企業の信頼性を大きく損ねると同時に、製造業における企業の責任を痛感させるという意味で日本国内に大きな影響を与えた。

   製品やサービスの品質が製造業における企業経営にとって大きなウェイトを占めていることはもはやいうまでもない。ずさんな品質管理が原因で不祥事を起こした企業は、社会的信用を失い存続の危機に陥いることになる。

   しかしながら近年数々のリコール問題が継続的に発生し、増加してきている。その背景としては大きく次の3点があげられる。
  • 罰則規定の強化で軽度の不具合でもリコールを届け出るようになった
  • リコール隠しなどで経営が傾いた企業があらわれたことにより、情報公開の企業責任が重くなった
  • コスト低減のため多くの製品に共通部品が使われ、一部品の欠陥で大量のリコールが出るようになった

表1:リコール問題増加の原因

   こうした背景の中、今回は品質に関わる業務の現場で起こっている情報活用に関する問題点とEMIソリューションの「見える化」「見せる化」による解決策の例を提示する。


品質問題/リコールの初期段階(障害対応)で起こる情報活用の問題

   リコールの初期段階は障害対応である。大量に同様の障害が発生してはじめてリコールになるわけであり、リコールになる以前の障害への対応の迅速化は企業の生命線の1つになっている。

   ここでは障害対応の現場で起こっている情報活用の問題を具体的に例示する。図1に示したのは、ある製造業での障害対応の流れである。
ある製造業における障害対応プロセス
図1:ある製造業における障害対応プロセス

   まず、製品のユーザから障害内容についての問い合わせが、1次障害窓口の受付担当者に入る。受付担当者は同一製品における同様のトラブルの発生の有無を社内の障害情報データベースを検索し確認する。過去に同様の問題の情報があれば、データベースに記載されている対応方法をユーザもしくは社内の技術員に知らせ、障害解決にあたる。

   過去に同様の問題が発生していない場合、製品サポート部門にエスカレーションし原因究明にあたる。原因究明は製品サポート部門に加え、品質・設計・開発・生産に携わる担当者たちが対策チームを形成して行う。

   対策チームはまず障害が発生した製品と製品を構成するユニットや部品が何かを調べる必要がある。製品はシリアルナンバーから特定でき、構成部品は製品の設計書からたどることができるため簡単に判明する。問題になるのはこれ以降の調査だ。

   製品を構成する個々の部品表(BOM:Bill of Materials。「ボム」と呼ばれる)は様々なファイル形式(PDF、Word、Excelなど)で複数のシステムや場所に保管されいる。この状態で原因究明のためにすべての情報を収集しようとすると、多大な労力を要することになる。

   このIT全盛のご時世にこのような状態の企業が存在するのかと思う方も多いだろう。しかし、たいていの企業はこの例のように必要な情報がすぐに見えず、情報収集に非常に苦労しているのだ。

障害対応プロセスにおける情報活用問題の例
図2:障害対応プロセスにおける情報活用問題の例
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

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日本アイ・ビー・エム株式会社  小澤 充明
著者プロフィール
日本アイ・ビー・エム株式会社  小澤 充明
1999年、日本アイ・ビー・エムに入社。入社当初より一貫してCRM/SCMソリューション・パッケージに包含されるBI製品のセールス・テクニカルサポートを担当。2006年から新たな情報共有基盤に関するソリューション提案と技術支援に携わり、情報の有効活用へのどめどないニーズを日々実感している。経営イノベーション グローバルISVソリューションズ所属。


INDEX
第3回:品質管理は製造業のアキレス腱!情報活用で迅速化・効率化を目指す
製造業における品質管理の現状
  見える化による情報活用
  見せる化による情報活用
意思決定の迅速化!見える化・見せる化ソリューション
第1回 すべての人のための情報活用基盤構築の3原則
第2回 重要な情報はどこにある?効率的なデータ活用で「できる営業」に!
第3回 品質管理は製造業のアキレス腱!情報活用で迅速化・効率化を目指す
第4回 必要な人材はどこにいる?企業のコンピテンス管理と人材の検索
第5回 コンタクトセンターで何が起きている?顧客満足度を高めるコンタクトセンター
第6回 「見える化」「見せる化」のための課題 〜セキュリティアプライアンス

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