仮想マシンとOS仮想化とは似て非なるもの

2007年3月2日(金)
土居 昌博

VirtuozzoによるOS仮想化の特徴

   OSレベルの仮想化ソリューションであるVirtuozzoは、サーバ上にある単一の標準OSを利用します。


OS仮想化のモデル(テンプレート利用例)
図3:OS仮想化のモデル(テンプレート利用例)

   このVirtuozzoによるOS仮想化のモデルはハードウェア仮想化の非効率性を排除するだけでなく、下記のような利点があります。

パフォーマンス

   Virtuozzoは現実(仮想化されていない)のハードウェアとOSソフトウェアを使用します。書き換えられたドライバやOS技術は存在しません。またほぼ遅れることなく新技術をサポートでき、ほぼネイティブでサーバレベルの性能を発揮します。

   またOSの重複がなく高い効率性を実現できるほか、データベースやメールサーバなどの高いI/O性能を求められるアプリケーションの仮想化に利用することが可能です。

スケーラビリティ

   柔軟性の高い設計により、仮想環境をシームレスにサーバ全体のリソースまで拡張することが可能です。ネイティブに32bitおよび64bitシステムに対応したスリムなアーキテクチャを採用し、ほぼすべてのシステムリソースを仮想環境から利用できます。

密度

   単一のOSのため、メモリをはじめ、多くの技術を効率的に利用可能です。Virtuozzoは仮想化ソリューションの中でもっとも高い密度を実現し ており、一般的な2ウェイx86サーバにおいて数百の仮想環境(VE)を構築することができます。この高密度は仮想化ソリューションにおける迅速な ROI(Return On Investment)を実現します。

管理性

   複数の仮想環境におけるサーバ上のOS管理を一元的に行うことができます。またアプリケーションを1つのインスタンスとして集中管理できます。これはアップデートの際にも有効で、1度のアップデートで複数サーバ上の仮想環境に必要に応じてパッチを適応可能です。

   オーバーヘッドが非常に小さく、動作が高速な点も大きなメリットとなります。これは、OSやその他のソフトウェアを仮想環境内に単純なリンクとして 作成できるためです。例えばクローン作成やライブマイグレーションでは、OS全体を移動させるのではなく、アクティブもしくは異なるデータのみを移動させ るため、非常に高速に処理できるのです。

   多くの処理で自動化/スクリプト化も行えることから、多数のサーバや仮想環境をシンプルに管理できます。さらに、包括的かつ動的なリソース管理によって、仮想環境が利用可能なリソース使用と変更をほぼリアルタイムで行うことが可能です。

次回は

   次回はSWsoftのOS仮想化ソフトであるVirtuozzoと、そのベースであるオープンソース仮想化ソフト「OpenVZ」について紹介します。

Amelion, Inc. 代表

米大手IT企業であるEDSでEコマースコンサルタントの経験を経て、米Osmonics(現GE P&WT)の日本における事業の立ち上げとマーケティングに携わる。2003年よりAmelion,Inc.を立ち上げ独立。 Amelion, Incでは、国内外のハイテク企業の広報をはじめ、特に海外企業の日本参入におけるマーケティング戦略から事業開発の包括的なサービスを提供。クライアン トのひとつであるSWsoftとオープンソースプロジェクトであるOpenVZの日本における広報は2006年より担当。

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています